研究領域 | 脳内身体表現の変容機構の理解と制御 |
研究課題/領域番号 |
26120008
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
芳賀 信彦 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80251263)
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研究分担者 |
花川 隆 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 脳病態統合イメージングセンター, 部長 (30359830)
大脇 大 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (40551908)
横井 浩史 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (90271634)
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研究期間 (年度) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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キーワード | 感覚入力 / リハビリテーション / 筋シナジー |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、筋シナジー制御dynamics の理解を通じて、革新的身体性リハビリ科学を開拓することであり、平成26年度末までに、本領域の他研究班と連携して動作計測または筋電図計測による筋シナジー測定の共通プロトコールと解析法を整備した。平成27年度中には、芳賀・四津グループは、大脇・舩戸グループと共同、動作解析・筋シナジー解析を同時に行えるシステムを構築した。花川グループは大脇・船戸グループと連携し、パーキンソン病及び健常高齢者を対象とした歩行および安静時機能結合fMRIの計測に着手し、また局所ジストニアを対象とし、経頭蓋磁気刺激、安静時機能結合fMRI、課題fMRIのデコーディング、拡散強調MRIによる白質統合性の解析などを統合的に行った。横井・杉らのグループは、多点電極FESシステムを開発し、多様な手指姿勢を誘発できることを確認した。またfNIRS計測とFESの併用による脳活動のSDの解析可能性を検討するために、健常者を対象にFESでFDへの介入を行いながらレッグプレス運動を行い、誘導されるSDを解析した。さらに片麻痺患者のためのサイクリング運動による筋シナジー評価のために、筋電計測およびエコーによる筋活動測定と、関節角と踏力、クランク角計測による運動測定を行うシステムを開発した。大脇・石黒グループは,提案した足底圧感覚を音情報としてフィードバックする感覚モダリティ変換装具を改良し、片麻痺患者を対象とし臨床効果を検討した。さらに芳賀・四津グループに協力し,先天性無痛症を対象とした計測の整備に関わった。 このようにこれまでにグループ内、グループ間での研究協力体制が整い、実行することができた。今後は、当初の本研究の目的を達成すべく、構築された研究協力体制を維持・発展しつつ、さらに研究を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
芳賀・四津グループは、先天性無痛症の歩容異常の背景に筋シナジー制御の異常があるかを捉え、痛覚に代わる感覚介入をすることで筋シナジー制御や歩容を改善できるかを検証することが目的に、大脇・舩戸グループと共同、動作解析・筋シナジー解析を同時に行えるシステムを構築した。 花川グループは大脇・船戸グループと連携し、パーキンソン病及び健常高齢者を対象とした歩行および安静時機能結合fMRIの計測に着手した。また連携研究者とともに音楽家のジストニアを対象とし、経頭蓋磁気刺激、安静時機能結合fMRI、課題fMRIのデコーディング(内藤グループと連携)、拡散強調MRIによる白質統合性の解析などを統合的に用い、局所ジストニアによる脳内身体表現の変容の解明を目指すとともに、経頭蓋直流電気刺激を用いたニューロリハビリーテーション法の開発を行った。 横井・杉らのグループは、機能的電気刺激(FES)による筋シナジー制御FDへの介入を可能にするために、多点電極FESシステムを開発し、多様な手指姿勢を誘発できることを確認した。またfNIRS計測とFESの併用による脳活動のSDの解析可能性を検討するために、健常者を対象にFESでFDへの介入を行いながら3ヶ月間のレッグプレス運動を行い、誘導されるSDを解析した。さらに片麻痺患者のためのサイクリング運動による筋シナジー評価のために、筋電計測およびエコーによる筋活動測定と、関節角と踏力、クランク角計測による運動測定を行うシステムを開発した。 大脇・石黒グループは,提案した足底圧感覚を音情報としてフィードバックする感覚モダリティ変換装具を改良し、片麻痺患者を対象とし臨床効果を検討した。さらに芳賀・四津グループに協力し,先天性無痛症を対象とした計測の整備に関わった。 このようにグループ内、グループ間での研究協力体制が整い、実行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度以降は、当初の本研究の目的である、(1)固有知覚障害、脳卒中、神経疾患による運動障害患者、並びに健常者に共通の運動課題を課し、筋電図や脳機能画像測定を通じて、運動障害における筋シナジー制御器の機能を反映する脳内身体表現マーカーを同定する、(2)失われた固有知覚を別感覚で代替する装具、機能的電気刺激や局所麻酔薬による筋固有知覚の変更など、筋シナジー制御fast dynamics を変える感覚入力がslow dynamics を長期的にどのように変えるかを解明する、(3)医工連携により構成される筋シナジー制御器の数理モデルを活用し、運動障害の機能回復を効率的に導く新規リハビリ手法を提案し検証する、の3つを達成すべく、構築された研究協力体制を維持・発展しつつ、さらに研究を進める予定である。 このために平成28年度中に、筋シナジー測定を中心とした実際のデータ集積を推し進め、芳賀・四津グループは先天性無痛症を中心とした、下肢に感覚障害を有する患者を対象に計測を進めるとともに、大脇・石黒グループと協力し、感覚入力を代償するような靴や装具を適用した際の変化を解析する。花川・北らのグループは、パーキンソン病のすくみ足、局所ジストニアを主たる対象とし、筋活動と脳活度の関係などの解析を更に進める。横井・杉らのグループは、27年度までに構築したシステムを用い、片麻痺患者のサイクリング運動によるリハビリテーションにおける筋シナジー評価を行い、目標運動との差異のフィードバックをFESにより行う手法を確立する。大脇・石黒グループは、実際の計測結果に基づき、感覚モダリティ変換装具の改良を重ね、他グループの研究での試用を継続する。
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