研究概要 |
本研究報告は、山地地盤崩壊に関する諸条件の中で、特に、地下構造と地下水挙動について取り扱ったものである。花崗岩山地に多発した崩壊地において、表層に形成している風化部の地盤構造に規制されている地下水(土壌水)の挙動を調べた。 実験地を愛知県小原村に選定し、これまでの研究で明らかな当該地方の斜面に形成する崩壊対象地盤に設定した。山地斜面の降雨による浸透水は地下部に形成している難透水層にせきとめられて飽和し、斜面に規制された側方浸透流(中間流)が発生し、山崩れの引き金的原因となっている。今回の調査で、豪雨による中間流の測定結果によると、基盤から約20cmの水位上昇と、それが約1日半の時間推移で消滅することを確認した。山地斜面の集水的な谷線上に形成する中間流によって、土層内の風化生成物の洗い出し効果があり、土層構造に影響を与えていると推定でき、花崗岩斜面の風化現象の解明についての知見を得た。 山地崩壊の発生は風化した花崗岩斜面での土層構成物とその構造に起因している。愛知県小原村一帯を実験地にして、花崗岩山地斜面の風化度合を区分する方法について研究を行なった。花崗岩の露頭が肉眼的に観察可能な場所で、その特徴を8型に分類区分し、区分した露頭において、弾性波速度測定を繰り返し行なった。山地崩壊の発生に関与している土層は、区分法のAw-1,Aw-2であることが分かった。これらの結果は花崗岩の風化土層を区分するのに基準的に利用できるものである。
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