麻酔薬や疼痛刺激が神経系の機能は、脳・脊髄に到達したとき、ニューロンやシナプスでの細胞が細胞内のシグナル伝達系がどのような変化をきたすか、明らかではない。局所麻酔薬が、細胞シグナル伝達蛋白分子MAPキナーゼに影響することを報告してきた。 研究者らは、同じラットのpheochromocytoma PC12培養細胞を使用して、局所麻酔薬がそのシグナル伝達分子の変化を観察した。 局所麻酔薬はブラジキニン誘発のフォスフォリパーゼDの活性化を抑制し、その抑制程度はプロカイン、リドカイン、ロピバカイン、ブピバカイン、テトラカインの順でテトラカインが最も著明であった。この抑制は電位依存性のNa+チャネル遮断薬のtetrodotoxin(TTX)やCa2+チャネル拮抗薬のニフェジピンの影響を受けなかった。 更に、同じ細胞系のアポトーシスシグナルに及ぼす、フォスフォリパーゼDの活性の影響を検討した。テトラカイン誘発のアポトーシスは、protein kinase Cがこの過程に影響し、PLDの活性化はPLCやp38蛋白分子の関与を介してテトラカイン誘発のアポトーシスを予防することが示された。この結果は、"The activation of phospholipase D in the tetracaine-induced rat pheochromocytome PC12 cell death"とまとめて、現在論文を投稿中である。
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