研究概要 |
細胞内小器官ペルオキシソームは近年多くの重要な代謝機能の解明やその障害は遺伝性の致死的疾患をもたらすことから、プロテイントラフィック分子機構解明のモデル系としても広く研究されている。私たちはペルオキシソームの形成機構やその障害機構の解明に向けて,現在までに13の異なるペルオキシソーム欠損性CHO(Chiniese Hamster Ovay)細胞変異株を分離し,相補遺伝子(PEX)の単離とその転写・翻訳産物(ペルオキシン)の機能ならびにZellweger症候群を代表とするペルオキシソーム形成異常症の原因遺伝子解明を目的として研究を行っている。エル・シャムリー博士は、哺乳動物系においても20以上のPEX相補性群の存在が推定されるところから、より蛍光高度の強いEnhanced green fluorescent protein(EGFP)とcatalaseの融合タンパク質を輸送マーカーとして新たなペルオキシソーム欠損性CHO変異細胞の分離を試み、先に分離されているZP114と同一相補性群に属する変異細胞の分離に成功した。また、ペルオキシソーム局在化シグナル1および2型(PTS1,PTS2)細胞質レセプターPex5P,Pex7のペルオキシソーム膜上ドッキング部位であるPex14Pの機能とその制御機構を明らかにすべく、翻訳後修飾(リン酸化)を細胞培養時に無血清から血清培地に変えた際に起こることを見出し、Pex14Pの大量発現系の確立ついでそのリン酸化部位の同定と生理学的意義について検討した。
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