研究概要 |
Tは連結なコンパクトLie群Gの極大トーラス,Nはその正規化群,W=N/TはWeyl群とする.コホモロジー群H^1(W;T)は有名なCurtis-Wiederhold-Williams定理 "2つの連結なコンパクトLie群が同型であるための必要十分条件は極大トーラスの正規化群が同型であること" を,非連結なLie群へ拡張する場合に鍵になるものである.実際,このコホモロジー群により,正規化群Nの外部自己同型群Out(N)を完全に記述できる. 当惑の外国人特別研究員J.-F. Hammerli博士は,U. Suter教授及びM. Matthey博士との共同研究の下に,すべての連結な単純コンパクトLie群Gについて,このコホモロジー群の決定に成功した.これらの計算を用いて,上記のCurtis-Wiederhold-Williams定理をすべてのコンパクトLie群に一般化できるものと思われる. さらに,同研究員は自らの博士論文の結果の一部の改良にも成功し,これは論文 The outer automorphism group of normalizers of maximal tori in connected compact Lie groups として,Journal of Lie Theoryに掲載されることになっている. Kac-Moody群のユニタリー形はコンパクトLie群の無限次元版であるが,Lie群の場合と同様に,Kac-Moody群は有限階数の極大トーラス,その正規化群およびWeyl群をもつ.Kac-Moody群のアフィン型に注目して,同研究員,受入研究者および森田純(筑波大)教授との共同研究により,上で述べたCurtis-Wiederhold-Williamsの定理がKac-Moody群(とそのユニタリー形)について成り立つことを予想し,その証明を研究してきた.より正確には,有限次元の場合のTitsの表示に類似な,Kac-Moody群の極大トーラスの正規化群の表示を用いることにより,次の結果を証明できる.すなわち, "GとG'はアフィン型のKac-Moody群,TとT'はそれぞれGとG'における極大トーラスとし,N=N_G(T)とN'=N_<G'>(T')はそれらの正規化群を表すとする.このとき,GとG'が同型であるための必要十分条件はNとN'が同型となること" である.
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