初年度は、一般パンルヴェ6型方程式を、そのモノドロミー保存変形と関わる楕円的表示を用いることにより研究する方法を開発した。今年度は、初年度の研究成果を発展させ、パンルヴェ6型方程式の殆んど全ての解についての臨界挙動を得ることが出来、一般の場合及び非一般の場合の接続問題を解くことが出来た。その結果、フロベニウス多様体(平坦構造)及び2-D位相場への重要な応用を得た。 パンルヴェ6型方程式の超越性を用いて、3次元多様体の平坦座標及びWDVV方程式の解のパラメーター表示を明示的に構成した。この構成により、パンルヴェ6型方程式の代数解から出発して、WDVV方程式の多項式解を計算する事ができる。同様のプロセスによりCP^2の量子群に対する結合法則のWDVV方程式の解の特異性の研究を行うことができる。その解は、Kontsevichにより一般の3k-1個の点を通るCP^1からCP^2への写像の個数を係数とする収束級数として求まっていたものである。その収束円の境界における特異点は、カノニカル座標から平坦座標への座標変換の特異点に対応することを示した。 これらの研究結果については、以下の研究会に於いて口頭発表を行った。 (*)「微分方程式の変形と漸近解析」 "Deformation of Differential Equations and Asymptotic Analysis" 数理解析研究所2002年6月3-7日 (*)「2002年度関数方程式論サマーセミナー」 "The Summer Workshop on Functional Equations and Painleve Equations" 慶應大学立科山荘、2002年8月1-4日 (*)九州大学4回連続講義2002年10月9-11日
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