ルーメン菌、Selenomonas ruminantium、Veillonella parvula、およびWolinella succinogenesの硝酸・亜硝酸還元能、並びにメタン生成に及ぼす硝酸還元菌の影響 乾草および濃厚飼料を基質として、ルーメン混合微生物を培養したところ、V.parvulaおよびW.succinogenesの数は大きく低下した。しかし、硝酸を添加した場合には、これらの菌数が低下しなかったことから、これらの菌は硝酸および(または)亜硝酸の還元と共役した電子伝達リン酸化によるATP生成によりエネルギーを獲得したと考えられた。一方、S.ruminantiumの数は、硝酸添加の影響を受けなかった。本菌も硝酸および亜硝酸反応と共役した電子伝達リン酸化によりエネルギーを獲得することができることから、ルーメン内には硝酸・亜硝酸還元能を持つS.ruminantiumの数は少ないと思われた。V.parvula、W.succinogenes、S.ruminantium、およびStreptococcus bovisは他の主要なルーメンバクテリアよりも亜硝酸の毒性に対する耐性が高かった。一方、メタン生成反応はバクテリア全般の増殖を阻害しないような低濃度の亜硝酸によっても阻害された。W.succinogenesはV.parvulaやS.ruminantiumよりも硝酸・亜硝酸還元能およびH_2に対する親和性が高かったが、その増殖速度は最も遅かった。硝酸とH_2を添加し、メタン菌とこれらの硝酸還元菌の菌体量を等しくして共培養したところ、メタン生成は大きく減少した。W.succinogenesは硝酸および亜硝酸の還元を増強するだけでなく、メタン生成を抑制するためにも最も効果的な菌であると考えられた。
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