研究概要 |
本研究では,三角形メッシュモデルの多重解像度表現に基づく有限要素解析・干渉判定処理の効率化に関する研究を行い,以下の成果を得た. 1 有限要素解析のための多重解像度メッシュ生成 設計形状の強度評価のための有限要素解析では,解析処理の効率化のために,形状の詳細フィーチャが選択的に除去され,低い解像度,高いメッシュ品質を持つメッシュモデルが要求される.本研究では,これらの要求事項を満足するため,形状の高周波成分を詳細フィーチャとみなし,メッシュモデルのフィルタリングにより得られる局所パワースペクトルと,メッシュ品質を決定付ける要素歪・頂点価数の評価に基づいてメッシュ低解像度化順序を決定し,元形状,又は,フィルタリング後の形状を近似しながらメッシュを低解像度化することにより,詳細フィーチャが選択的に除去・保存されたメッシュ品質の高い低解像度メッシュを得られる多重解像度表現生成法を開発した.以上の成果より,高密度三角形メッシュモデルからの,有限要素解析に適した解像度・性質を持つメッシュモデル生成が可能となった. 2 干渉判定のための多重解像度メッシュ生成 本研究では,昨年度開発した干渉判定用多重解像度表現より得られる低解像度メッシュを,初期干渉可能性検出に用い,その検出結果に従って,干渉個所を絞り込んだ効率の良い干渉判定処理を実現するため,多重解像度表現におけるメッシュ階層性の2分木表現に基づく,干渉検出個所近傍のみを高解像度化する適応的解像度制御法を開発した.また,提案法における更なる干渉判定処理効率化のために,干渉可能性の低い形状の凹部分や小面分から成る部分を優先的に,かつ,線形計画法に基づいて形状膨張(干渉過大評価量)を最小化するメッシュ低解像度化を実現した.以上の成果より,干渉個所の絞り込み,処理速度・精度制御が可能な,三角形メッシュモデルを用いた効率の良い干渉判定処理が可能となった.
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