本年度における研究実績の概要としては、これまでに実施されてきた研究成果の国内外における学会での発表がある。これらの発表としては、平成14年度7月23日に東京の昭和女子大学で開催された東南アジア考古学会第10回大会における口頭発表、7月31日から8月7日にかけてニューカレドニアにおいて開催されたラピタ・オセアニア研究に関する国際シンポジウムでの口頭発表が挙げられる。東南アジア考古学会での発表では、研究対象地域であるボルネオ島の新石器時代遺跡全般についてをまとめた上で、これまで調査を実施してきたボルネオ島東岸における先史時代(ブキットテンコラック遺跡)の生計活動と資源利用の特徴についてを紹介した。 またニューカレドニアでのシンポジウムでは、ボルネオ島東岸域における先史時代の生計活動の中でも特に漁労活動に焦点を当てた上で、それらの特徴をオセアニア地域におけるラピタ時代の漁労活動のそれと比較した研究成果を発表した。また、ニューカレドニアでの国際シンポジウムにおいて発表した論文は学術モノグラフへの採録を依頼された為、一部を加筆・修整した上で投稿し、数回に渡る査読を経て現在出版準備中であるとの報告をもらっている。(2003年出版予定) これらの発表の他に、九州大学、北海道大学や大阪の国立民族学博物館および千葉県佐倉の国立歴史民俗学博物館等において、先史時代および現代における漁業資源や自然資源利用に関する文献、バジャウ等の民族誌資料等の収集を精力的に実施した。
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