研究概要 |
本年度の研究実績として第一に、「リベラル・コミュニタリアン論争の政治的転回・ロールズとサンデルの議論の展開を中心に-」を執筆し、『政治思想研究』に投稿・掲載されたことが挙げられる。これは、リベラル・コミュニタリアン論争が、当初の自己に関する議論から、政治哲学的側面および政治史的側面において、リアル・ポリティックスを含む「政治的」な議論へ展開しつつあることをしめし、さらにそこから生じた諸問題について考察とした論文である。 第二に、Bowling Alone : America's Declining of Social Capital(1995) Robert D.Putnam, Journal of Democracy 6(1),65-78を翻訳したことが挙げられる。この論文はアメリカ合衆国における社会資本の衰退を指摘して大反響をよんだ論文だが、日本でまだ邦訳がなく、掲載雑誌を探している途中である。 同時に現在までのチャールズ・テイラーの倫理思想について執筆した論文をまとめて現在までのチャールズ・テイラーの倫理思想について執筆した論文をまとめて出版するべく、準備をすすめている。これはそれぞれ現在まで発表してきた論文に対応して、第一章自己論、第二章政治論、第三章近代論、にわかれ、さらに補論としてテイラーとアイザイア・バーリンとの思想の比較を行いたいと考えている。 また本年度は、テイラーの思想の倫理的・宗教的側面についての考察やアメリカにおけるコミュニタリアニズムの実践についても研究を深めたと考えている。
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