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2002 年度 実績報告書

エトムント・フッサールの現象学における方法論について

研究課題

研究課題/領域番号 00J10488
研究機関立命館大学

研究代表者

神田 大輔  立命館大学, 文学研究科, DC1

キーワード本質 / 時間意識
研究概要

今年度は<深いレヴェルへの反省の可能性>と<意識の本質の発生>を研究の課題としたが、具体的には以下のように考察を進めた。
1、本質と観点の多重化
フッサールの言う本質は、われわれがものを認識する際に取る観点として理解できるものである。本質を取り出す方法である「自由変更」は<或るものが他のものから分離可能であるかを吟味する方法>であり、自立性と非自立性の吟味である。したがって「自由変更」は観点の自立性と非自立性の吟味であることになり、そのとき観点が非自立的であるとは<観点の多重化を必要とする>ということを意味することになる。したがって現象学の本質記述とはそのような<観点の多重化の確認>であり、また、われわれが暗黙のうちに取っている観点の顕在化や、われわれが見たことのないものを見えるようにするための新たな観点の提示を意味することになる。(ここまでの成果は『立命館哲学』に掲載予定である。)
2、次元と観点の多重化
フッサールは『危機』において、自然的態度の生と超越論的主観性の生をそれぞれ「表面の生」と「深さの生」と呼ぴ、次元が異なると言う。この次元の違いは観点の多重化と解釈でき、そうすると現象学的還元は「深さの生」という<新たな観点の追加>を意味することになる。「表面」の中では認識は謎(「超越の謎」)にとどまるが、「深さ」という次元を追加することによってフッサールはその謎を解消しようとする。
3、時間意識の次元
フッサールは初期時間論において<自分自身は時間の中に属さず時間を意識する意識>、つまり<時間意識>という新たな観点を追加する。これによってフッサールは「時間意識の謎」とも呼べるようなブレンターノたちが陥った困難を解消しようとする。また、中期時間論においては<時間統握の偶然性>が、つまり<時間意識>という観点と<時間>という観点が必ずしも多重化する必要がないことが明らかになる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 神田大輔: "本質と観点の多重化-減少額の方法と「基づけ」について-"立命館哲学. 第十四集. 119-136 (2003)

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公開日: 2004-03-26   更新日: 2016-04-21  

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