研究課題
本班は、主として疫学的な立場からこの課題について研究を行なっている。本年度については、以下の研究業績があった。(1)子宮頚癌、前癌病変におけるHPV検出率本邦の子宮頚癌376例中132(35.1%)にHPVー16が、239例中23(9.6%)にHPVー18がShouthern blot法にて検出された。その他、HPVー31、33、52b、58等も数%に検出され、合わせると約65%にHPVが検出された。前癌病変である異形成のうち、軽度〜中等度に約20%、高度異形成と上皮内膜に約45%にHPVー16が検出された。(2)PCR法を用いた検出率の向上PCR法によるHPV検出法の開発が行なわれている。福島班員によれば、PCRを用いることによりHPV検出率が約20%上昇したという。(3)新しい型のHPVの発見菅生班員は、子宮頚部の悪性病変より、HPVー58、59、61の新しい型のHPVを発見し、クローニングに成功した。(4)正常婦人子宮頚部からのHPV検出Filter in situ hybridizationを用い、細胞診class1、2の正常子宮頚部からHPV検出を行なったところ、666例中6例(0.9%)に11型が、12例(1.8%)に16型が、4例(0.6%)に18型が検出された。一方、class3、4、5の前癌、癌病変からは127例中HPVー11、16、18型がそれぞれ3.9%、25.2%、7.1%に検出されている。(5)HPV検出子宮頚部の追跡調査小数例ではあるが、HPVの検出された症例についての追跡調査を行なった。1〜2年でははっきりしたことは言えないが、検出例に特に悪性化が強いということはないようである。(6)血清抗体検出のための、検出法の開発を行なっている。
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