研究課題
分担研究者のもつ独自の手法により以下の成果を得た。小西は、ハムスターを用いて発癌物質によりイニシエイトされた膵細胞を選択的に増殖せしめ実験期間が、週と比較的短期で高率に膵癌を発生せしめる実験系を確立した。この実験系における膵細胞の動態をDNA合成を指標として検索した結果、膵管上皮細胞の選択的増殖がみられ、発生する膵癌はヒトのそれと同様に膵管癌であることが判明した。又、この系においてdiethylnitrosamineは膵に対し発癌性を有することを見出した。更に抗酸化剤であbutylated hydroxyanisole(BHA)は膵発癌を抑制した。高橋は、ハムスター膵発癌において、大豆トリプシン阻害剤であるSBTIはNーnitrosoーbis(2ーoxopropyl)amine(BOP)のイニシエイションに作用して膵発癌を抑制することを見出した。関谷は、膵癌発生に寄与するDNA異常を解析する方法として、標的DNAあるいはDNA領域をPCRで増幅せしめた後に1本鎖DNAとし塩基置換があった場合にとる高次構造の変化を電気泳動上の移動度の差として検出し得る方法を開発した。森は、[1ー^<14>C]ーNーnitrosoーbis(2ーhydroxypropyl)amine(DHPN)を用いラットとハムスターにおける生体内分布を検索すると、[1ー^<14>C]ーDHPNの最高血中濃度に達する時間と血中から消失する時は両動物において差はないが、膵では、ハムスターに投与1時間で高い放射活性が検出されたのに対し、ラットにては低い放射活性であった。又、ハムスターにはDHPN及びその関連膵発癌物質は肝で代謝活性化され、肝ミクロゾーム中のフェノバルビタール型Pー450により活性化が明らかとなった。石川は、糖尿病合併膵癌症例の特異性を病理学的に解析しこれら症例にては高分化腺癌が多く主膵管を閉塞し、非癌部膵管に異型上皮過形成を伴う頻度が高率であった。鎌野は、雑種成犬の膵管内ヘニトロソ化合物であるENNGを投与し、世界で始めて犬に膵癌を作製することに成功した。
すべて その他
すべて 文献書誌 (7件)