〔研究成果〕 1987年、ヒトのマクロファージ様細胞株U937の培養上清に新しいリンパ球増殖阻止因子、LBIFを同定した(文献1)。本研究ではLBIFの精製標品を用いて、1)in vitroでの腫瘍細胞の自律増殖に対するLBIFの増殖阻止効果を検討するとともに、2)LBIFに対するモノクロナール抗体の作成を達成した。 I.LBIFの腫瘍細胞の自律増殖に及ぼす影響(文献2、3)。 19種類の腫瘍細胞株について、現在ヒトの臨床で使用されているインターフェロン(IFN)alphaの他、IFNgamma、TNFalpha、TGFbeta1およびILー1alpha/betaを比較対象としてLBIF活性を調べた。その結果、1)LBIFは動物種を越えて作用し、白血病細胞、悪性黒色腫、神経芽細胞腫に強い増殖阻止活性を示した。 比較実験から、LBIFは他のサイトカインより相当広いスペクトルの腫瘍細胞の増殖を阻止した。2)LBIFの阻止活性を極めて強い。 3)LBIFの影響を全く受けない細胞株も存在する。4)増殖阻止される腫瘍細胞にも2種類あり、LBIFにより死滅するものと、単に増殖停止するものがある。 以上の結果は、LBIFがリンパ球の増殖に限らず、より広範な細胞増殖のコントロールに係わっていることを示している。 II.抗LBIFモノクロナール抗体の作成 LBIFの構造ー活性相関を研究するために必要である抗LBIFモノクロナール抗体の作成を試み、それを達成した。
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