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1989 年度 実績報告書

腫瘍特異的MHC非拘束性キラーT細胞のレセプター構造と傷害機序の解析

研究課題

研究課題/領域番号 01015013
研究機関千葉大学

研究代表者

斉藤 隆  千葉大学, 医学部附属高次機能制御研究センター・遺伝子情報分野, 教授 (50205655)

キーワードキラーT細胞 / 腫瘍免疫 / MHC非拘束性 / gamma delta T細胞クローン / リンホカイン産生腫瘍 / メラノーマ / 遺伝子導入 / 腫瘍増殖抑制
研究概要

1.MHC非拘束性のキラーT細胞としてCD4^-CD8^-胸腺細胞のクローンを樹立した。このクローンはリンホカイン依存性で、増殖にIL2とIL3を必要とする。さらにgamma delta T細胞レセプター(TCR)を発現し、広い範囲の腫瘍に対するNK様傷害活性をもつ。一方、抗CD3、抗Thy1抗体で刺激し活性化すると、IL2とgammaIFNを産生し、THー1様のリンホカインパターンを示した。傷害機序に関してはMHCに非拘束性であり、レセプター特異性は未知である。傷害活性にはgamma delta/CD3複合体は関与しないが、抗LFAー1抗体で阻害される。即ち、リンホカイン産生はTCRを介して誘導されるが、NK活性は異なる。
2.B16メラノーマの可溶性抗原で誘導し、増殖するT細胞クローンを得た。独立して2クローンを樹立した。これらはCD4^T増殖性T細胞で、機能的には腫瘍に対するキラーT細胞の誘導を抑制する。クローン由来のmRNAを作製し、アンカーPCR法を用いてTCRの塩基配列を決定した。alpha鎖beta鎖の配列は両クローンともValphallーJalpha281,Vbeta13であり、alpha鎖でのVJ結合のN配列が1つ異なるだけであった。腫瘍を認識する免疫系のレパートリーが限られていることを示唆した。
3.メラノーマ特異的キラーT細胞を誘導しやすくする目的で、リンホカインIL2、IL4、IL6遺伝子を導入したB16メラノーマ細胞を作製した。リンホカイン産生はノザンプロット、生物活性で確認できた。これらでキラーT細胞を誘導させると、ILー2産生腫瘍が著しく強い抗腫瘍活性を誘導でき、IL4、IL6では変化なかった。これはNK様活性が主で、腫瘍特異的細胞は少いと思われる。リンホカイン産生B16をvivoに植えると、IL2産生腫瘍では腫瘍増殖が著しく抑えられ、逆にIL4、IL6産生腫瘍では増殖を著しく促進した。ILー2産生腫瘍により免疫系の賦活化が可能であることを示すと同時にIL4、IL6による著しい増殖効果の基礎を解析する必要がある。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] MarusicーGalesic,S.,Saito,T.,Tentori,L.,ZunigaーPflucker,J.,Raulet,D.H.,Allison.J.P.&Kruisbeek,A.M.: "A novel gamma delta TCT adds limited diversity to the gamma delta repertoire in adult thymus." J.Immunol.142. 28 (1989)

  • [文献書誌] Saito,T.&Germain,R.N.: "Marked difference in the efficiency of expression of distinct gamma delta T cell receptor heterodimers." J.Immunol.143. 3379-3384 (1989)

  • [文献書誌] Saito,T.,Ohno,H.,Ushiyama,C.,Taniguchi,M.&Germain,R.N.: "CD2 can mediate TCR/CD3ーindependent T cell activation." Nature.

  • [文献書誌] Saito,T.,Pardoll,D.,Fowlkes,B.J.,&Bluestone,J.A: "A murine thymocyte clone expessing gamma delta T cell receptor mediates cytolytic function against tumors and THlーlike lymphokine secretion." Cancer Res.

  • [文献書誌] Ohmo,H.,Taniguchi,M.,&Saito,T.: "Negative signal,transduction through CD2 molecule upon antigenーspecific T cell activation." J.Immunol.

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公開日: 1993-03-26   更新日: 2016-04-21  

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