研究概要 |
Murine betaーインターフェロン(IFNーbeta)の六方晶系の電型の結晶のX線解析は、その後順調に進み、3.0A分解能の電子密度分布図を算出することに成功した。これによりmurineIFNーbetaのポリペプチド鎖の折り畳み構造がほぼ明かとなりつつある。 a)murineIFNーbeta分子中には5本のalphaーらせんがあり、これらがほぼ平行に組合わさった基本構造を取っている。 この構造を基にしてhumanIFNーbetaに存在するSーS架橋を作らせることが可能である。 c)この構造を基にしてhumanIFNーalphaに存在するもう一本のSーS架橋を作らせることも可能である。 従って、alpha,betaに共通でhuman,murine間でも共通なIFNの基本立体構造が世界で初めて確立されたことが、確実である(Proc.Japan Acad.に投稿中)。 今後X線解析の分解能を2.8A分解能に上げ、さらに結晶学的な精密化を行って、上記の構造を絶対確実なものとしたい。その後の計画は以下のようである。 a)コンピュータ・グラフィックス等を駆使してhumanIFNーbetaの立体構造を類推する。究を参照して、IFN分子中の活性部位を推定する。 b)必要に応じて、IFNーbetaに関する蛋白質工学的研究を実行する。 c)上記のb)の知見に基ずき、IFNの活性部位をmimicする低分子化合物を設計し、合成及び薬理試験を行う。
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