研究概要 |
1.Talpha/delta鎖遺伝子座に於ける染色体転座地点検出の為のプローブの作成。 多くの染色体転座は、Talpha/delta遺伝子座の中でも特にD或は、J領域で生じる。このプロジェクトの第一段階としてこの領域の遺伝子再配列をくまなく検索するためのプローブの作成を行った。 2.T細胞受容体alpha鎖遺伝子座に於ける遺伝子再配列とそのクローニング 1.で作成したプローブを用いてATNー1細胞に於けるTalpha/delta遺伝子座の遺伝子再配列を検索した。その結果ATNー1細胞において、Calphaの上流約15Kbと約65KbのJalpha領域で遺伝子再配列が検出され,Cdelta領域に於ける両対立遺伝子の欠失を見いだした。そこでこれらの遺伝子再配列のクローニングを行い解析したところ、この遺伝子再配列はTCR遺伝子の発現の過程で生じた生理学的遺伝子再配列であることが明かとなった。 3.tclー1遺伝子座に於ける遺伝子再配列 tclー1遺伝子座のプローブを用いてパルスフィールド電気泳動法を行ったところ、ATNー1細胞に遺伝子再配列を検出した。その遺伝子再配列の位置とプローブとの間の距離は、75Kb以下であることが示唆された。 4.elk遺伝子の染色体マッピング 最近Rao等によって、新たにets類似のプロト癌遺伝子elkが発見され、我々はこの遺伝子のマッピングを行った。X染色体p11.2と第14染色体q32の位置の二ケ所にelk遺伝子を見いだし、それぞれの遺伝子をelkー1、elkー2と命名した。elkー2遺伝子座はtclー1遺伝子座よりも染色体長腕の末端側の染色体14q32.3の位置に存在し、T細胞白血病でしばしば観察される、染色体の逆位重複の領域内に含まれることが明かとなった。
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