研究課題/領域番号 |
01015032
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
清木 元治 金沢大学, がん研究所, 教授 (10154634)
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研究分担者 |
佐藤 博 金沢大学, がん研究所, 助手 (00115239)
田中 淳之 金沢大学, がん研究所, 助教授 (60019875)
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キーワード | 転移 / 基底膜 / 浸潤 / 細胞運動 / ras |
研究概要 |
癌の転移は癌患者の死因の大半を占めている。しかし、転移を防ぐ有効な方法は未だ確立されていない。その原因の一つは、転移の成立過程は複雑であり、その成立機序の解析が困難であったことによる。本研究では癌細胞の転移能と良く相関している基底膜の浸潤能のステップに焦点を絞って解析を進めた。用いた細胞はNIH3T3であり、ras癌遺伝子の導入によって高転移性にトランスフォームした細胞での変化を調べた。 癌細胞の運動性の昂進は、基底膜を破壊しながら通過する際に必要とされる性質である。ras癌遺伝子の導入による細胞の運動性昂進の機序に着目して以下のことを明らかにした。 1、ras遺伝子の導入によって自らの運動性を刺激するAutocrine Motility Factor(AMF)の産生が昂進していた。 2、AMFに対する反応性にはras遺伝子の導入によって変化がないことから、運動性の昂進はAMFの産生量の増大によると結論される。 3、AMFはクロマトグラフ的に単一成分からなる。 4、ヒトメラノーマで最初のAMFが報告されているが、それとは見かけの分子量や安定性などの点で異なる。 5、NIH3T3のAMFとヒトメラノーマ細胞のAMFの作用はGタンパク・インヒビターに対する感受性が異なること、また二つのAMFがそれぞれの細胞に対して相加的に働くことから細胞の受容体も異なると考えられる。 以上のことから、rasトランスフォーマントでもAutocrineの機構で運動性の昂進が引き起こされていることが明らかになった。
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