研究課題/領域番号 |
01015054
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
上野 陽里 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (60025541)
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研究分担者 |
芥田 啓三 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (70144285)
小林 慎江 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (80027408)
北岡 祥伯 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (00027426)
赤星 光彦 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (00027418)
高橋 正治 京都大学, 胸部疾患研究所, 教授 (00026931)
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キーワード | 中性子核反応 / がん細胞 / 細胞致死作用 / 放射化学 / ボロンー10 / 熱中性子 / 原子炉医療 |
研究概要 |
我々は以前から悪性腫瘍の中性子捕捉療法の基礎である、原子炉熱中性子とボロン10との核反応がもつ細胞致死作用の研究を続けてきた。今回はその細胞致死作用のメカニズムを放射化学的に分析し、合わせて中性子捕捉療法と温熱療法の併用療法の可能性を放射線生物学的に追求しようとした。まず熱中性子が細胞核内DNAに与える線量を放射化学的に詳しく計算した。一方HeLa Sー3細胞を使用して、実際に細胞致死効果を観察し、計算値と比較した。その結果、両者のよい一致を見た(上野、赤星ほか)。この結果は目下論文を作成中である。また、中性子捕促療法にとって必要なボロン化合物の中で、最近開発されたボロンとDNA前駆物質との結合物質についてNMRで、ボロンとフェニールアラニンとの結合物質については赤外分光法によって、その化学的性質の分析を行っている(北岡、小林)。中性子捕捉療法による細胞致死のメカニズムを分析するうえで有効な手段となる放射化シスプラチンの研究は原子炉を利用してしか出来ない研究の一つであり、この放射性化合物の高速液体クロマトグラフィーによる放射化学的研究、その腫瘍細胞内取り込みの実験が順設に進んでいる(赤星ほか)。中性子捕捉療法と温熱療法の可能性の研究は、両者の併用を考える最初のステップとして、家うさぎの肝臓に対する温度の影響、中性子の影響を目下別々に観察しており、また中性子捕捉療法の近い将来の実現を考えて、深部腫瘍に対する温熱療法に臨床データも蓄積しつつある(高橋、芥田ほか)。
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