研究課題/領域番号 |
01015128
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研究機関 | 国立がんセンター |
研究代表者 |
津金 昌一郎 国立がんセンター研究所, 疫学部, 室長 (40179982)
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研究分担者 |
山口 百子 国立健康栄養研究所, 成人健康栄養部, 室長
津田 充宥 国立がんセンター研究所, 生化学部, 室長 (00124420)
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キーワード | がんの地域差 / 相関研究 / 生体指標 / 微量元素 / ビタミン / 硝酸塩 / ニトロソ・アミノ酸 / 食塩 |
研究概要 |
岩手県二戸(1市4町村)・秋田県横手(1市7町村)・長野県佐久(1市8町村)・沖縄県石川(2市5町村)の保健所管轄地域の住民台帳より40歳から49歳の男子170名を無作為抽出し名簿を作成後、配偶者と共に、健康診断・面接質問調査・血液および尿の採取を実施した。調査対象男性の内、調査を実施し得た者の割合は、70%から78%(岩手:77、秋田:78、長野71:沖縄:76)であり、対象地域住民としての代表性および地域間の比較性において精度の高い標本を得る事が出来た。採取した血液(血漿・血清・リンパ球)や尿(随時尿・24時間尿)の試料については、-80℃のディープ・フリーザーにて凍結保存し、随時分析に処している。現在迄のところ、岩手および沖縄の血中の栄養素(コレステロール、尿酸、タンパク)、微量元素(セレニウム・亜鉛など)、ビタミン(C、A、E、betaーカロテンなど)や、24時間尿中の硝酸塩、ニトロソアミノ酸(Nーnitrosoproline,Nーnitrosothioprolineなど)、食塩量の定量を終了した。両地域の比較の結果を要約すると、有意な高値を認めたのは、沖縄でコレステロール・中性脂肪・尿酸・alphaートコフェロール、岩手で総タンパク・アルブミン・ビタミンC・硝酸塩・含硫ニトロソアミノ酸であった。また、セレニウム・亜鉛・ビタミンA、betaーカロテンにおいては両地域で差を認めなかった。一方、食生活について、面接質問による食品摂取頻度調査や秤量法による3日間摂取食事量調査で得られた結果は、生体試料中の栄養素量と地域レベルで相関していた。即ち、沖縄において脂質や油脂、岩手においてタンパク質・果物・食塩などの摂取頻度あるいは摂取量が多かった。 2地域のみの比較においては、がん死亡率の地域差の要因を明らかにする事は出来ないが、今後、更に2地域のデータが揃えば、何らかの解答を得られるものと考える。
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