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1990 年度 研究成果報告書概要

中華人民共和国における病原性黒色真菌の生態学的研究および真菌性疾患の疫学調査

研究課題

研究課題/領域番号 01041015
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分学術調査
研究機関千葉大学

研究代表者

西村 和子  千葉大学, 真核微生物研究センター, 教授 (00114314)

研究分担者 李 秀芳  栄養及食品衛生研究所, 助理研究員
戴 文麗  山東省立医院, 皮膚科, 主任医師
李 若瑜  北京医科大学, 皮膚科, 助手
王 端礼  北京医科大学, 皮膚科, 教授
盂 昭赫  栄養及食品衛生研究所, 教授
堀江 義一  千葉県立中央博物館, 科長
田中 玲子  千葉大学, 真核微生物研究センター, 助手 (60143319)
田口 英昭  千葉大学, 真核微生物研究センター, 助手 (70092070)
栗田 啓幸  千葉大学, 真核微生物研究センター, 助手 (90111434)
寺尾 清  千葉大学, 真核微生物研究センター, 教授 (30009120)
宮治 誠  千葉大学, 真核微生物研究センター, 教授 (40009494)
LI Ruo-yu  Dept. of Dermatology, First Hospital, Beijing Medical University
WANG Duan-li  Dept. of Dermatology, First Hospital, Beijing Medical University
MENG Zhao-he  Institute of Nutrition and Food Hygiene, Chinese Academy of Preventive Medicine
LI Xiu-fang  Institute of Nutrition and Food Hygiene, Chinese Academy of Preventive Medicine
研究期間 (年度) 1988 – 1990
キーワード病原性黒色真菌 / 生態 / 中国 / アスペルギルス / ステリグマトシスチン / 土壌 / アフラトキシン / 腐植植物
研究概要

本プロジェクトは以下の2つの研究目的を遂行するために計画され、所定の成果を上げた。
I中国における病原性黒色真菌の生態
中国においては中南米と共に黒色真菌(黒カビ)による難治性の皮膚深部の感染症、クロモミコ-シスが多い。しかも、日本、中南米と比べて、それらの原因菌種の種類が多い点に特徴がある。本症は生活および自然環境中に生息する原因菌が軽微な外傷によって接種され、発生するが、中国においては病原性黒色真菌の生態はまったく調べられていない。
我々は1988・89年に、特に本症の多い山東省章丘県(済南市より東へ60Kmに位置する)において各種試料を収集し、北京市にある中国予防医学科院栄養及食品衛生研究所と北京医科大学第一医院において真菌分離作業を行った。
得られた分離菌を日本へ持ち帰り、同定し性状を詳細に検討した。
土壌273、腐植中の楊樹皮、木片、とうもろこし、麦藁、高りゃん藁など510、計783試料より以下の病原性黒色真菌が得られた。フィアロフォ-ラ・ベルコ-サは腐植植物より49、土壌より14、エクソフィアラ・デルマチチジスは腐植植物より1、エクノフィアラ・ジャンセルメイは腐植植物より5、エクソフィアラ・スピニフェラは腐植植物より7、フォンセカエア・ペドロノイは腐植植物より1、アルテルナリア・アルテルナ-タは腐植植物より7、土壌より1、およびベロナエア・ボトリオ-サは腐植植物より11、土壌より12の菌株が分離された。腐植植物からの分離率は15.9%、土壌からは59%、試料全体から12.4%の分離率であった。各種性状は患者分離株と一致していた。
以上の菌はいずれも、中国において感染例が知られており、フィアロフォ-ラ・ベルコ-サ以外の菌は今回の調査研究によって初めて生態の一端が明かになった。特に、エクソフィアラ・スピニフェラは中南米に特有とされ、それ以外の大陸、日本から分離されたことはないが、今回中国において生態が明かにされたことは大きな成果であった。しかしながら、主要原因菌の1つクラドスポリウム・カリオニは分離されず、今後の課題を残した。
II中国山東省における土壌中のマイコトキシン生産菌と、その発癌性マイコトキシン生産性
中国においては各種カビの産生する毒素(マイコトキシン)の急性、慢性中毒症が知られている。特にアスペルギルスとその近緑菌が産生するアフラトキシン、ステリグマトシスチンなどは強力な発癌性を有し、中国における肝癌の高い発生率の一因と見なされている。
先に述べたと同じ土壌試料から異なる方法を用いてマイコトキシン生産菌を分離した。分離菌の詳細な同定、マイコトキシン生産性の検討は千葉大学真核微生物研究センタ-において行った。
アスペルギルス・フラブスは50試料(19%)より、アスペルギルス・パラジチクスは1試料より、エメリセラ属菌は119試料(44%)より、ペトロミセス・アリアセウスは22試料(8%)より分離された。他に感染性と痙れん性マイコトキシン生産性を有するアスペルギルス・フミガツスが193試料(72%)より分離された。これら分離菌のマイコトキシン生産性については、アスペルギルス・フラブスの被験株44中アフラトキシンB_1、 B_2、G_1、 G_2、の生産性を示した株が4、アスペルギルス・パラジチクスの1、 B_1、 B_2のみの生産性は8あった。定量した結果、アスペルギルス・パラジチクス1株、アスペルギルス・フラブスの被験菌9株中3株に高生産性を認めた。エメリセラ・ニズランスの被験株43株中、ステリグマトシスチン生産性を認めた株は26あった。農作物のマイコトキシン汚染は主に土壌菌に由来している。日本においてはアフラトキシン生産性の高い菌は沖縄以北の土壌からは分離されていない。山東省済南市は宇都宮とほぼ同緯度にあるが、今回の結果は、中国においてはかなりの高緯度までアフラトキシン生産菌が土壌に生息することを示しており、楊子江以北の農作物にはマイコトキシン汚染はないとする従来の見解に注意を喚起している。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Nishimura,K.,Miyaji,M.,Taguchi,H.,Wan,D.ーL.,Li,RーY.,Men,Z.ーH.: "An ecological study on pathogenic dematiaceous fungi in China" Proc.4th Int.Sym.Res.Ctr Pathogenic Fungi and Microbial Toxicoses,Chiba Univ.17-20 (1989)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 西村 和子、宮治 誠、田口 英昭、王 端礼、李 若瑜、盂 昭赫: "中国における病原黒色真菌の生態学的研究(第1報)" 日本菌学会第33回大会講演要旨集. 70 (1989)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 西村 和子,宮治 誠,寺尾 清,田口 英昭,田中 玲子,横山 朝治,堀江 義一,盂 昭赫,王 端礼,李 若瑜,戴 文麗: "中国における病原黒色真菌の生態学的研究(第2報)" 第34回日本医真菌学会総会・抄録集. 68 (1990)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 堀江 義一,西村 和子,宮治 誠,寺尾 清,田口 英昭,横山 耕治,田中 玲子,盂 昭赫,劉 興,李 秀芳,: "中国山東省における土壌中のマイコトキシン生産菌と、その発ガン性マイコトキシンの生産性について" マイコトキシン.

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Nishimura, K. , Miyaji, M. , Taguchi, H. , Wang, D. -L. , Li, R. -Y. , Meng, Z. -H.: "An ecological study on pathogenic dematiaceous fungi in China" Proc. 4th Int. Sym. Res. Ctr. Pathogenic fungi and Microbial Toxicoses Chiba Univ.17-20 (1989)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Nishimura, K. , Miyaji, M. , Taguchi, H. , Wang, D. -L. , Li, R. -Y. , Meng, Z. -H.: "Ecological studies on pathogenic dematiaceous fungi in China (I)" Proc. 33rd Ann. Meet. Mycol. Soc. Jpn.70 (1989)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Nishimura, K. , Miyaji, M. , Terao, K. , Taguchi, H. , Tanaka, R. , Yokoyama, K. , Horie, Y. , Meng, Z. -H. Wang, D. -L. , Li, R. -Y. , Meng, Z. -H. , Dai W-L.: "Ecological studies on pathogenic dematiaceous fungi in China (II)" Jpn. J. Med. Mycol.31. 68 (1990)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Horie, Y. , Nishimura, K. , Miyaji, M. , Terao, K. , Taguchi, H. , Yokoyama, K. , Tanaka, R. , Meng, Z. -H. , Liu, X-J. , Li, X. -F.: "Mycotoxin producing fungi in Shandong soil, China and their productivity of carcinogenic mycotoxins" Proc. Jpn. Assoc. Mycotoxicol.

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

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公開日: 1993-08-12  

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