電波・赤外線国際共同観測による星のコンパクト天体の観測

1990 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01041022
• 研究機関: 国立天文台
• 研究代表者: 海部 宣男 国立天文台, 光学赤外線天文学研究系, 教授 (50011630)
• 研究分担者: 川口 則幸 国立天文台, 電波天文学研究系, 助教授 (90214618) ; 石黒 正人 国立天文台, 電波天文学研究系, 教授 (40023684) ; 宮地 竹史 国立天文台, 野辺山宇宙電波観測所, 助手 (10182023) ; 山下 卓也 国立天文台, 光学赤外線天文学研究系, 助手 (00211631) ; 林 左絵子 国立天文台, 光学赤外線天文学研究系, 助手 ; 川口 建太郎 国立天文台, 電波天文学研究系, 助教授 (40158861) ; 半田 利弘 東京大学, 理学部, 助手 (40202270) ; 中井 直正 国立天文台, 電波天文学研究系, 助手 (80192665) ; 森本 雅樹 国立天文台, 電波天文学研究系, 教授 (80012805) ; 川辺 良平 国立天文台, 電波天文学研究系, 助手 (10195141) ; 斉藤 修二 名古屋大学, 理学部, 教授 (30106158) ; 山本 智 名古屋大学, 理学部, 助手 (80182624) ; 井上 允 国立天文台, 電波天文学研究系, 助教授 (10151622) ; 平林 久 宇宙科学研究所, 衛星応用工学研究系, 助教授 (90012880) ; 出口 修至 国立天文台, 電波天文学研究系, 助手 (20197825) ; 浮田 信治 国立天文台, 電波天文学研究系, 助教授 (20184989) ; 田中 培生 東京大学, 理学部, 助手 (70188340) ; 小林 行泰 東京大学, 理学部, 助手 (50170361) ; 林 正彦 東京大学, 理学部, 助手 (10183914) ; 柴田 克典 日本学術振興会, 特別研究員 (60222030) ; 長谷川 哲夫 東京大学, 理学部, 助教授 (50134630) ; 柴田 尚美 日本学術振興会, 特別研究員 (60212172) ; 佐藤 修二 国立天文台, 光学赤外線天文学研究系, 助教授 (50025483) ; 中野 武宣 国立天文台, 電波天文学研究系, 教授 (30027346) ; 面高 俊宏 鹿児島大学, 教養部, 教授 (50129285) ; 今井 一雅 高知工業高等専門学校, 電気工学科, 助教授 (20132657) ; 亀谷 収 国立天文台, 水沢観測センター, 助手 (70202025) ; 坪井 昌人 国立天文台, 電波天文学研究系, 助手 (10202186) ; 小川 英夫 名古屋大学, 理学部, 助手 (20022717) ; 杉谷 光司 名古屋市立大学, 教養部, 助手 (80192615) ; 佐藤 文男 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (70154094) ; 大石 雅寿 国立天文台, 電波天文学研究系, 助手 (00183757) ; 小林 秀行 宇宙科学研究所, 衛星応用工学研究系, 助手 (20211906) ; 福井 康雄 名古屋大学, 理学部, 助教授 (30135298)
• キーワード: 電波 / 赤外線 / VLBI / コンパクト天体 / 星形成領域 / 銀河核 / アジア国際協力

研究概要

平成2年度は、本研究の2年次目にあたる。アメリカ合衆国を中心に、チリ・オ-ストラリア・中国など6カ国に、13件合計27名(内研究協力者4名を含む)の研究者を派遣し、それぞれに所期の成果をおさめた。交付申請書において計画したのは15件、29人の派遣であったが、このうち3件が相手国における望遠鏡のスケジュ-ル上の都合によって延期または中止となり、代わりにVLBI(超長基線干渉計)の調査を1件追加し、観測1件に研究協力者を追加した。他には、予定研究者の日程の都合による派遣研究者の差し替えや、研究協力者の追加(合計4件)があるものの、全体として極めて順調に当初計画を実行することができた。
実施した調査研究の内訳は、星の形成領域を中心としたコンパクト天体などの観測が6件、国際共同デ-テ検討が1件、スペ-スVLBIやミリ波VLBIによる超コンパクト天体観測の推進やデ-タ解析調査等が5件、電波干渉観測法の調査共同観測が1件である。このうち観測では、ハワイ・マウンケアのJCMT(ジエ-ムス・クラ-ク・マックスウエル望遠鏡)15mサブミリ波鏡、UKIRT(英国赤外線望遠鏡)3.8m鏡、チリ・セロトロロの4m鏡など世界第一線観測装置が使用され、クエ-サ-や活動銀河核におけるH_2分子輝線の検出や蛍光励起の確認(川良、林正彦等)、銀河系中心の詳しい赤外構造(佐藤、山下、上野)と分子雲の高励起成分の検出(亀谷)、南天の分子雲における化学進化の証拠(山本、三上等)など極めて大きな成果をあげた。VLBI関連でも、ソ連のスペ-スVLBI計画(RADIOASTRON)との装置面を含む具体的協力検討や、世界最大のVLBIネットとなるVLBAとの相互乗り入れ、日本が中心になってのミリ波VLBI国際ネット構築の前進などに成果があった。また、ミリ波・赤外線での日本と中国、更に韓国をも加えた国際共同が大きく前進した。

研究成果

• [文献書誌] 海部 宣男: "Interstellar Molecules" in “Molecular Processes in Space",ed.T.Watanabe et al.,Plenum Press. 205-231 (1990)
• [文献書誌] 田中 培生 他: "Three Micron IceーBand Features in the Galactic Center Regions" Astrophysical Journal. 352. 724-730 (1990)
• [文献書誌] 山下 卓也 他: "The Density Structure of the Protostellar Disk:A PowerーLaw Distribution of the Dust Around GGDー27 IRS" Astrophysical Journal. 365. 615-619 (1990)
• [文献書誌] 山本 智 他: "Laboratory Microwave Spectroscopy of the Linear C_3H and C_3D Radicals and Related Astronomical Observation" Astrophysical Journal. 348. 363-369 (1990)
• [文献書誌] 佐藤 文男: "Giant Cold HI Cloud Complexes near the HII Region W5" Astronomical Journal. 99. 1897-1903 (1990)
• [文献書誌] 田村 元秀 他: "CO Outflow and Infrared Reflection Nebula of GSSー30 in the Rho Ophiuchi Core" Astrophysical Journal. 350. 728-731 (1990)
• [文献書誌] 奥田 治之 他: "An Infrared Quintuplet Near the Galactic Center" Astrophysical Journal. 351. 89-97 (1990)
• [文献書誌] 川良 公明 他: "Co Emission from the Nucleus of Infrared Galaxy NGC 4418:An Early AGN Phase?" Astrophysical Journal. 365. L1-3 (1990)
• [文献書誌] 亀谷 収 他: "New H_2O Masers in the NGC 7538 Region" Astrophysical Journal. 355. 562-567 (1990)
• [文献書誌] M.Margulis: "A Spectacular Molecular Outflow in the Monoceros OB1 Molecular Cloud" Astrophysical Journal. 352. 615-624 (1990)
• [文献書誌] R.P.Linfield 他: "15GHz Space VLBI Observaitons Using an Antenna on a TDRSS Satellite" Astrophysical Journal. 358. 350-358 (1990)
• [文献書誌] T.P.Krichbaum 他: "43GHzーVLBI Observations of 3C273 after a Flux Density Outburst in 1988" Astronomy and Astrophysics. 273. 3-11 (1990)
• [文献書誌] V.Dhawan 他: "Further 7 millimeter VLBI Observations of 3C84 and Other Sources with 100 Microarcsecond Angular Resolution" Astrophysical Journal. 360. L43-46 (1990)
• [文献書誌] 林 左絵子 他: "Molecular Observations of L723 Region:Coupling Between the sporadic Outflow and the Gaseous Disk?" accepted to Astrophysical Journal. (1991)
• [文献書誌] 大石 雅寿 他: "The Ortho to Para Ratio for Ketene in TMCー1" submitted to Astrophysical Journal. (1991)
• [文献書誌] 川辺 良平 他: "Nuclear Concentration of Molecular Gas in the LateーType Spiral Galaxy NGC6946:300pcーScale Gaseous Disk" in press Astrophsical Journal. (1991)
• [文献書誌] L.B.Baath 他: "The Microarcsecond Structure of 3C273 at 3mm" Astronomy and Astrophysics. 241. L1-4 (1991)