研究分担者 |
DEL Moral R. ワシントン大学, 植物学教室(米国), 教授
UTECH F.H. カーネギー自然史博物館, 植物部門(米国), 主任研究員
平塚 明 東北大学, 理学部, 助手 (60142915)
大原 雅 北海道大学, 農学部, 助手 (90194274)
田村 実 大阪市立大学, 理学部, 助手 (20227292)
佐藤 利幸 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (00154071)
高須 英樹 和歌山大学, 教育学部, 助教授 (90108001)
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研究概要 |
本研究プロジェクトの目的は,北半球温帯圏において最も日本列島の温帯要素と類縁関係の深い第3紀要素が数多く分布・生育する北米大陸東部並びに西部地域において,これらの植物群の生育環境,生態分布,地理的変異,生活史諸特性の比較研究,並びに染色体,アイソザイム,DNAなどの解析によって,日本列島産の植物群との類縁関係,系統,進化のモ-ドと過程を捜ろうとするものである。 1.目的とした生品材料植物の採集は単子葉・双子葉植物併せて54属,135種,シダ植物は15属35種と,ほぼ当初の目的を達成することが出来た。採集した〓葉標本は,約1500点余りである。 2.これらの植物群のうち,生活史特性がほぼ完全に解析できたのはエンレイソウ属の30種で,この他同じくエンレイソウ科(狭義)のScoliopus,Medeolaの2属に関しても生活史諸形質の解析は終了した。ユリ科のUvularia属の3種に関しては現在,生活史諸形質の解析とアイソザイムの分析が鋭竟進められている。 3.チゴユリ属Prosartes亜属の5種の染色体数,核型,休止核の形態が詳細に研究され,アジア産の同属植物とは全く異なる系統群に属することが明らかとなった。この結果はcpDNAのRFLP分析,rbcL遺伝子の解析結果ともよく一致する。 4.ユリ科,サトイモ科,エンレイソウ科などの主だった植物群に関してはcpDNAのRFLP分析並びにrbcL遺伝子の構造解析デ-タが得られ,これらの隔離分布を示す植物群の類縁関係の解析に,より客観的手法を導入することに成功した。これらの成果は,生活史諸特性の分化パタ-ンの解析とも併せて,今後この分野の研究に重要なインパクトを与えるものとなろう。
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