研究課題/領域番号 |
01041064
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
藤原 健藏 広島大学, 文学部, 教授 (90034545)
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研究分担者 |
SINGH B.V. アンバー大学, 教授
SHARMA R.C. ジャワハルラルネルー大学, 国際研究学部, 教授
友澤 和夫 東北大学, 理学部, 助手 (40227640)
牧野 一成 佐世保工業高等専門学校, 講師 (00173724)
岡橋 秀典 広島大学, 文学部, 助教授 (00150540)
河野 憲治 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (50034476)
中里 亜夫 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (60044343)
米田 巌 広島大学, 総合科学部, 教授 (90012533)
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キーワード | 干ばつ常習地域 / 村落変化 / 潅漑 / 村落社会構成 / 指定部族民 / 政策効果 / 商品作物 / 生態系変化 |
研究概要 |
平成2年度のインドの政治状況は、公務員予約制度問題やヒンドゥ-・イスラム対立騒動等のため極めて不安定であり、調査計画に一部変更を余議なくされたが、インド側研究分担者の努力もあって所期の成果を十分に挙げることができた。その概要は次の通りである。1,標本調査は5ヵ村を対象として実施した。前半はマハラシュトラ州の2村(バブルガオン・ダヒワディ)およびマディヤプラディシュ州の2村(ディカトプラ・ナハルケ-ダ)での分担者による分散調査とし、後半は全員による集中調査をマディヤプラディシュ州のガデ-ルで行った。2,かつて干ばつに苦しめられていたディカトプラ・バブルガオンは、大規模潅漑によって農業の大転換のみならず、村落社会構造にも大き変貌が認められる。前者ではマスタ-ド、後者ではサトウキビの導入による収入増加があるが、反面過剰投資による負債の増加、土壌変化・地下水枯渇等の生態系破壊も現実化し、予断を許さない。3,ダヒワディとナハルケ-ダは山間小盆地に位置するという点で似るが、ジャ-ティ構成や開発への村民意識等において相違しており、そのことが開発の進度を大きく左右している。低カ-スト民からなる後者は、ST・SCのような各種政府補助を受ける機会が少ないので、行政による適切な援助、指導を必要とする。両村とも干ばつに対する抵抗力はきわめて低い。4,独立後、政府はST(指定部族民)への土地払い下げ、農具・種子の提供等によって農業への定着を奨励し、一部ではその成果も認められる。しかし、ガデ-ルではその実効が認められず、最近では都市化の影響がむしろマイナスの方向に働いて、将来の展望は必ずしも明るくない。5,総じて、干ばつ常習地域開発の諸政策は一定の効果はあるものの、行政末端における不徹底、困難、予値を指摘することができる。
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