研究課題
1.91年度には、調査国研究分担者2名(マラヤ大学・教授・H.S.YONG、プケット海洋生物センタ-・研究員・S.POOVACHIRANON)を九州大学に招聘した。滞在期間中アイソザイム分析の結果の検討と、タイ国調査終了後も収集するように依頼しておいた、Ilyoplaxの繁殖活動の資料を受取り検討した。これらの結果については、研究成果概要に記入した。また、それ以外に“マングロ-ブ生態系の自然誌"および“マレ-シアのハリナシバチの生物多様性"についてのゼミを行った。陸上への適応に関連して採集したスナガニ科カニ標本を用いて、光学および電子顕微鏡による観察を行った。鰓・ティンパナの観察については研究成果概要に記入したが、その他、特に空気呼吸に関わる器官の形態観察を現在継続中である。形態に基づく系統類縁関係の推定のための計測についても現在その途中である。2.研究成果概要に記入したように、Uca属では、Amphica亜属の調査が、本課題を展開するために必要であることがアイソザイム分析で明らかになった。インド・西太平洋のUcaでは、Wavingによる求愛を用いた交尾様式の他に、どの種でも起こる別の交尾様式が存在する。前者の発達の著しい種ほど、後者の様式が変形しているので、両者の相互関係についても検討する必要がある。Ilyoplax属では、熱帯産の調査3種が、このグル-プの祖先種に近いか否か、まだ明らかではないが、熱帯起源の種が東アジアの温帯に適応するプロセスで社会行動がよく発達してきたように考えられるので、その資料の収集も必要である。系統類縁関係では、DNAの分析による分岐年代の推定が現在急速に確立されつつあるので、この方法を取り入れ、研究を発展させたい。
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