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1991 年度 研究成果報告書概要

中華人民共和国雲南省における家畜の品種分化に関する遺伝学的調査

研究課題

研究課題/領域番号 01041075
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分学術調査
研究機関鹿児島大学

研究代表者

橋口 勉  鹿児島大学, 農学部, 教授 (80041614)

研究分担者 張 亜平  中国科学院, 昆明動物研究所, 助手
林 世英  中国科学院, 昆川動物研究所, 講師
楊 鳳堂  中国科学院, 昆明動物研究所, 助手
蕭 開進  雲南農業大学, 助手
劉 愛華  中国科学院, 昆明動物研究所, 副教授
朱 静  中国科学院, 昆明動物研究所, 助手
張 漢雲  中国科学院, 昆明文院, 副教授
熊 江  中国科学院, 昆川動物研究所, 副教授
姚 宏兵  中国科学院, 昆明動物研究所, 助手
許 文博  雲南農業大学, 副教授
施 立明  中国科学院, 昆明動物研究所, 教授
岡本 新  鹿児島大学, 農学部, 助手 (70158814)
川本 芳  京都大学, 霊長類研究所, 助手 (00177750)
角田 健司  昭和大学, 医学部, 助教授 (40095906)
前田 芳實  鹿児島大学, 農学部, 助教授 (50041661)
並河 鷹夫  名古屋大学, 農学部, 助教授 (70111838)
天野 卓  東京農業大学, 農学部, 助教授 (90078147)
西中川 駿  鹿児島大学, 農学部, 助教授 (70041639)
野澤 謙  中京大学, 教養部, 教授 (40023387)
XU Weng Bo  Yun Nan Agriculture University, Associate Professor
SHI Li Ming  Kunming Institute of Zoology Academia Sinica, Professor
ZHANG Ya Ping  Kunming Institute of Zoology Academia Sinica, Assistant Prof.
XIAO Kaijin  Kunming Institute of Zoology Academia Sinica, Assistant Prof.
YAO Hong Bing  Kunming Institute of Zoology Academia Sinica, Assistant Prof.
LIN Shi Ying  Kunming Institute of Zoology Academia Sinica, Assistant Prof.
XIONG Jiang  Kunming Institute of Zoology Academia Sinica, Associate Prof.
LIU Ai Hua  Kunming Institute of Zoology Academia Sinica, Associate Prof.
ZHU Jing  Kuuming Institute of Zoology Academia Sinica, Assistant Prof.
YANG Feng Tang  Kunming Institute of Zoology Academia Sinica, Assistant Prof.
ZHANG Han Yun  Kunming Institute of Zoology Academia Sinica, Associate Prof.
研究期間 (年度) 1989 – 1991
キーワード中国雲南省 / 家畜品種分化 / 血液型 / 蛋白質型 / 遺伝距離 / 染色体 / 遺伝的変異性 / 家畜遺伝資源
研究概要

平成元年度から平成3年度の3カ年にわたり、中国雲南省における家畜の品種分化に関する遺伝学的調査を行った。得られた研究成果のうち主なものを上げるとつぎの通りである。(1)雲南省の黄牛の毛色は他のアジア地域の黄牛と同様に黄色ー褐色が一般的である(71.8%)。血液型判定の結果から、大理集団と西双版納集団間で出現頻度に著しい差がみられた因子は5種で、特にZ'因子は大理で0%、西双版納で57.1%であった。血液蛋白質型のうち、Hb^A、Hb^B、Hb^Xの遺伝子頻度は大理と西双版納集団ともHb^A、Hb^Bの頻度が高く、さらにHb^Xも検出された。これと同様の結果は、タイ国およびマレ-半島部の純度の高い在来牛でみられたのみで雲南省の在来牛の品種の分化をさぐる上で極めて興味ある結果といえる。(2)水牛における血液蛋白質型25座位の遺伝子頻度をもとに遺伝距離を推定し、これまで調査した他のアジア地域集団を加え合計30集団についてデンドログラムを作成して分析した。その結果、雲南省の沼沢水牛は台湾、沖縄、フィリッピンのグル-プに属し、インドネシア集団グル-プとは異なることが明らかとなった。この結果は台湾やフィリッピン地域の水牛の伝播は中国大陸から生じたという歴史的な事実と符合するものである。(3)在来牛および野生牛であるガヤ-ル(Bos frontalis)のミトコンドリアDNAの切断片長多型(RFLP)を分析した。その結果、有来牛はヨ-ロッパ牛とゼブ牛を共通の祖先としていることが判明し、さらにガヤ-ルはゼブ型を示すことが明らかとなった。(4)ガヤ-ルの雌の核型はこれまでの報告と同じでその染色体数は2n=58であった。しかし雄では染色体数は2n=59で、常染体色は56本のアクロセントリックおよび1本の大型サブメタセントリック型から成り、性染色体は大型のサブメタセントリックのXおよび小型のメタセントリックのYより構成されていた。さらにG分染法により常染色体の大型サブメタセントリックは1/28ロバ-トソン型転座であるという興味ある結果が得られた。(5)乳蛋白多型を遺伝子標識として雲南省で飼養されている文山黄牛、昭通黄牛、大理黄牛および版納黄牛の遺伝的変異性、遺伝的分化を解析した。乳蛋白4座位の遺伝子頻度から集団の遺伝的変異性を平均ヘテロ接合率で比較した結果、文山黄牛が最も高い値(45.4%)を示し、版納黄牛が最も低い値(20.1%)を示した。また比較した4品種の集団間の遺伝的分化を相対分化示数G_<ST>で定量した結果では9.7%という低い値が得られ、雲南省内の在来牛集団間ないし品種間の遺伝的分化の程度は高くないことが示唆された。(6)雲南省で飼養されている在来鶏、版納闘鶏、武定鶏および〓〓鶏について卵白蛋白質型7座位について分析を行った。その結果、Ov、G_2、G_3およびTf_<EW>の4座位に多型が検出された。さらに版納在来鶏と茶花鶏においてオボグロビリンG_3座位にこれまで報告のない新しい変異G_3^Cが検出された。(7)雲南省は在来家畜の品種の種類と飼養頭数が多いことで知られているが、近年欧米の改良種の導入による交雑が行われつつある。在来鶏や在来山羊は放し飼いによる庭先養鶏や自然放牧が多いこと、また在来牛や在来緬羊は、改良種の導入による交雑が計画的に行われていない点が多くみられることから、貴重な家畜遺伝資源の維持・保存に今後十分留意する必要性を痛感させられた。
3カ年にわたる研究成果は、本年3月末の日本畜産学会大学での口頭発表(4題)を皮切りに秋の大会でも引続き行う予定である。また論文は、在来家畜研究会報告第15号(平成5年3月発行の予定)に特集号として掲載し発表すべく準備を進めている。

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公開日: 1993-03-16  

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