研究課題/領域番号 |
01041089
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研究機関 | 武蔵大学 |
研究代表者 |
丸橋 珠樹 武蔵大学, 人文学部, 助教授 (20190564)
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研究分担者 |
ムワンカ゛ M. ザイール科学省, 中央自然科学研究所・生物学部, 研究員
三谷 雅純 京都大学, 霊長類研究所, 非常勤講師 (20202343)
湯本 貴和 神戸大学, 教養部, 助手 (70192804)
山極 寿一 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (60166600)
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キーワード | 比較生態学 / ゴリラ / チンパンジ- / ザイ-ル / コンゴ / 薬草利用 / 肉食 / 道具使用 |
研究概要 |
ザイ-ルの山地林のゴリラとチンパンジ-の間には明瞭な生態学的地位の相違が見られた。低地熱帯林のゴリラの生息密度は、山地林の約半分程度と推測された。低地熱帯林のゴリラは、大きく季節移動をおこない、年間の遊動域面積は、山地林に比べると十倍にもなると推測された。低地ゴリラのフンからは、山地林のゴリラとは異なって雨期乾期を問わずどの個体からも、シロアリやアリの昆虫食がみられた。コンゴのゴリラの生態的特色は、湿原での水草の多量摂取であった。チンパンジ-はこのような湿原には入らない。チンパンジ-は多種多様の果実利用に固執するが、ゴリラは主として繊維質の植物利用を行い、数種のゴリラ好みの大・中型果実を加えるという採食生態の違いが見られた。 ザイ-ルの山地林のチンパンジ-による、Cercopithecus mitisの肉食が確認された。道具使用も観察された。タンザニアのチンパンジ-による薬草利用の採食様式と酷似している行動が、ゴリラの糞分析からみられた。行動の直接観察がないので、確実に薬草利用とは即断できないが、資料の化学成分分析を今後行う。 ベルギ-国、王立植物園とパリ自然誌博物館において、収集植物の同定を行なった。いくつかの新種が発見され、より詳しい研究のため滞在を延期した。 日本国に招へいしたムワンガ氏は、本研究の共同分担者であった浜田博士の指導のもと、グエノン類の形態学的研究を行なった。グエノン類の毛の色の種内および種間比較を行ない、論文の草稿を完成させた。なお、当初予定していたルワンダ国での調査は、調査地域での治安が回復せず、断念した。
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