研究課題
研究目的色素性乾皮症は、患者の多くが太陽光にさらされた部分に皮膚がんを生じる高発がん性遺伝性疾患である。研究代表者は、この疾患を1970年ごろから研究対象とし、これまでに日本人患者約300例について、その遺伝学的特性、患者から培養した細胞の紫外線傷害復能の欠損、および皮膚がんを含む臨床症状などについて調査研究してきた。その結果を外国の患者の報告と比較すると、かなり特性が異なることを知り、その主な理由が、遺伝的特性の違いによることを明らかにしてきた。本研究では、日本人に近いと考えられる中国および韓国と、これまで調査研究が一部しかなされていないアラブ系の民族について、日本人および欧米人の色素性乾皮症の遺伝的特性と比較研究することを目的とする。研究経過と成果本年度は、北アフリカのチュニジアの色素性乾皮症患者の調査研究を主に行なった。中国および韓国については、情報の収集およびこれまでに入手している患者細胞の特性の解析を行なった。チュニジアへは研究代表者が渡航し、2日間にわたってチュニス大学のシヤルル・ニコル病院皮膚科で患者の調査(診察)と主に皮膚がん組識の入手に従事した。本年度は、昨年度とは違って、新しい型とみられる例(昨年度はそれぞれブル-ム症候群、コケイン症候群、各(例と判明)はなく、調査した例はすべて色素性乾皮症であり、その〓〓は約150例に達した。皮膚がん試科については、ホルマリン固定の状態で日本へ持ち帰り、DNAを摘出して、がん遺伝子の変化(突然変異)を実験的に調べている。これまで、ホルマリン固定で生じることのあるDNAの細断化は起きていないことを確認しており、解析進行中である。