研究課題
1.臨床病理学的研究について:インドネシア大学中央病院腫瘍外科の乳がん手術例について発生部位・組織像・癌巣近傍所見・臨床像などの臨床病理学的調査を行なうと共に、日本(癌研附属病院外科)でも同様の調査を継続した。その結果、インドネシア乳がん例はそのほとんどがvery late staga、日本乳がん例はvery early stageであることから、相互比較性に欠ける状況となった。したがって日本側はインドネシア乳がん症例の臨床病理学的調査資料の整備と検索・症例の予後調査方法の設定に協力することになった。2.インドネシアにおける症例対照研究について:症例と対照(症例1例に対し2例を設定)の直接面接による疫学情報の収集は順調で、平成3年2月14日現在の調査完了数は症例255例、対照424例の合計679例である。今年度招聘したインドネシアの疫学担当者(Joedo Prihartono)との共同予備的分析(症例144例と対照262例)によれば、都市在住者にリスクが低く、初交年齢16歳以下・胸部外傷経験あり・肥満・初潮年齢16歳以上・20歳代の月経不順・閉経者でリスクが高い。極めて限られた質問項目数であった食品摂取頻度調査では、脂肪に富む食事とココナッツミルク食品の週2回以上の摂取および野菜摂取ほとんどなしが2ー3倍のリスクである。これは詳細な栄養学的比較研究の展開が将来課題であることを示す。3.日本における症例対照研究について:平成2年6月以降の6ヵ月間の癌研附属病院乳腺外科受診女性全員から自記式質問票により疫学情報を収集した。この産診女性全員中の乳がん例と平成3年4月までの乳がん例を症例(約300例)とし、上記受診女性全員中の非癌者から対照(約600例)を無作為に選択する方法で症例対照研究を実施中である。デ-タ入力が完了した2,393受診女性のうち、乳がん例は118例である。
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