研究課題
国際学術研究
1.鳥類卵の心起因性微小振動(心弾動)と心弾動性圧力波に関する研究(1)心電図(ECG)、心弾動図(BCG)及び動脈圧の同時計測BCGはオ-ディオ・カ-トリッジによって検出し、マイクロコンピュ-タを利用して、ECG、BCG及び動脈圧の同時計測システムを構築、鶏卵について実験を行った。卵の心弾動は、心臓からの血液拍出に因るばかりでなく、心室の等容積収縮、及び心房収縮にも起因することを明らかにした。(2)心弾動性圧力波(ACG)に関する研究コンデンサ-・マイクロフォンでACGを検出し、インピ-ダンス・カ-ディオグラム(ICG)、ECG、BDG、卵内圧と同時計測することによって、その成因の確認を行った。卵内圧及びICGと波形の相関が認められる場合があるが、BCGとの因果関係を立証することは難しく、今後の研究が必要となった。(3)各種心弾動計測法の開発と計測信号の物理量胚(embryo)の心臓拍動に伴う卵殻の微小振動(BCG)をレ-ザ変位計、レ-ザ・スペックル計、オ-ディオ・カ-トリッジ及びピエゾ薄膜素子を利用した四通りの計測システムを開発。BCGの同時計測、信号処理を行って、夫々の物理量を明らかにした。2.鳥類卵心拍数の無侵襲計測に関する研究(1)家禽6種における胚の成長に伴う心拍数の種に固有な変化心弾動計測システムは、胚心拍数の無侵襲計測に応用できる。卵質量の異なる鶉、鶏、七面鳥、孔雀、アヒル及び鵞鳥について、ふ卵後半からふ化するまで心拍数を計測し、種に固有な変化パタ-ンがあることを見い出し、卵質量に対するアロメトリ-特性を明らかにした。ふ卵期間中に死亡する胚の心拍数日令変化に特異性のあることを発見した。(2)海鳥にみられる心拍数日令変化の特異性コアホウドリとオナガミズナギドリは、同じミズナギドリに目に属するが、嘴打(external pipping,EP)のプロセスを異にする。その相違が嘴打前後の心拍数変化に影響を及ぼすことを明らかにした。同じハワイの海鳥で、チドリ目の黒アジサシのEPはオナガミズナギドリと同じプロセスで行われ、嘴打期間も前二者と同様数日に及び、その期間の心拍数変化は酸素摂取量に関連するものと思われる。(3)ハトの胚にみられる心拍数の遺伝性要因家禽化された孔雀バトと野生の河原バトにおいて、心拍数の日令変化は、前者において一様なパタ-ンを示すのに対して、後者においては胚個体による差が大きく、そのなかにあって、兄弟胚の心拍数は似たような日令変化を示し遺伝性要因が関与していると思われる示唆に富む結果を得た。3.鳥類における産熱性恒温能発現の比較生理学的研究産熱性恒温能評価法として、小さい冷却負荷を長期間かけその前後の酸素摂取量温度係数の比較に基づく新たな方法を考案し、アヒル、鶏(共に早成離巣性種)、黒アジサシ(半早成離巣性)及び孔雀バト(晩成離巣性)について、EP前後とヒナにおいて、低温負荷に対する代謝応答(鶏については心拍数応答も)を評価し、産熱性恒温能発現の離巣性による発達の差を明らかにした。4.酸素摂取量に関する研究(1)酸素摂取量に及ぼす卵殻ガスコンダクタンスの効果と(2)呼吸様式(拡散、拡散+対流、対流)の変化に伴う環境酸素濃度、ヘリウム及び六弗化イオウの酸素摂取量に及ぼす効果を明らかにした。
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