研究分担者 |
藤井 博信 広島大学, 総合科学部, 教授 (30034573)
都 福仁 北海道大学, 理学部, 教授 (10000837)
竹が原 克彦 東北大学, 理学部, 助手 (80133924)
奥田 喜一 大阪府立大学, 工学部, 教授 (50028205)
三頭 聰明 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (30005938)
国井 暁 東北大学, 理学部, 助手 (10004368)
四窰 樹男 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (30196365)
鈴木 孝 東北大学, 理学部, 助教授 (30004344)
長谷川 彰 新潟大学教養部, 教授 (40004329)
落合 明 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (90183772)
北沢 英明 理化学研究所, 研究員 (00195257)
塩川 佳伸 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (50111307)
高木 滋 東北大学, 理学部, 助手 (20154750)
SPIERLET J.C ヨーロッパ共同研究所, 主任
ROSSATーMIGNO グルノーブル研究所, 教授
FUGER J. ヨーロッパ共同研究所, 教授
KITAZAWA H. the Institute of Physical and Chemical Researcher
MITUGASHIRA S. Institute for Materials Research Tohoku Univ. Assoc. Prof.
SHIKAMA M. Institute for Materials Research Tohoku Univ. Assoc. Prof.
SHIOKAWA A. Institute for Materials Research Tohoku Univ. Assoc. Prof.
HASEGAWA A. general Education Department, Niigata University Prof.
SUZUKI T. Department of Physics, Tohoku University, Assoc. Prof.
TAKEGAHARA K. Department of Physics, Tohoku University, Research Associate
TAKAGI S. Department of Physics, Tohoku University, Research Associate
MIYAKO Y. Department of Physics, Hokkaido Univ. Prof.
KUNII S. Department of Physics, Tohoku University, Research Associate
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研究概要 |
1)カ-ルスルーエヨ-ロッパ共同研究所派遣の成果 新設された東北大学金属材料研究所大洗アクチナイド施設における,実行面での中心的存在である塩川佳伸明教授と落合明助手とをそれぞれ平成2年度,3年度に長期滞在派遣をさせることが出来た。ここで実際Pu,Np化合物單結晶作製が新規な物質探索としてプニクタイトを選んで行われた。これを通じて,装置,技術,ノウハウ等過去20年間位の間に蓄積された先進的経験を充分に吸収出来た点は今后大洗アクチナイド施設の発展のために大きな成果であったと云える。作製された化合物は今后種々の物性測定が行われる予定で,4f電子系との比較で大きな興味がもたれている。この間落合明はカ-ルスル-エ研究所で比熱測定装置の建設(これは当初なかったプロジェクトであったが,平成2年度にカ-ルスル-エ側からの要請で,日本側も合意したもの)も行った。測定ホルダ-及びソフト等を日本側からもち込んだが,カ-ルスル-エ側で購入予定の測定計器の入荷が大巾に遅れ,彼の滞在中での完成には至らなかった。 2)グルノ-ブル原子力研究所派遣の成果 元来ヨ-ロッパにおける超ウラン化合物の物性研究は共同出資と分担役割がかなり初期の段階から議論され,組織化されていた。結晶作成はもっぱらカ-ルスル-エ研究所のSpierletを中心として行われ,測定は各国で分担して行うもので,その中でもグルノ-ブルは中心的な存在であった。しかしその測定は基礎物性にとどまっており,かつかならずしも今の時点で充分とは云えない装置群であった。事実本プロジェクト発足時にグルノ-ブルでは10KOeの電磁石を使った帯磁率,電気抵抗,ホ-ル効果の測定装置しかなかった。我々はこのことの抜本的改善と,基礎物性から抜け出しより本質にせまる測定として,フェルミ面,電子構造を直接観測可能なドハ-ス効果測定装置の建設を提案した。この建設は日本側で責任をもち,クラィオスタット,測定用ホルダ-,測定ソフトを国内で作製し搬入すること,それにはドハ-ス測定のエキスパ-トである理研,北沢英明が中心となった。彼は本計画で初年度と2年度に派遣され,最終年度はグルノ-ブル側の負担で滞在をした。その間グルノ-ブル側の負担並びに他の経費で東北大理大江洋一と杖容聖が,北沢を補助する意味で最終年度にそれぞれ半年間派遣された。その結果,装置は完成し,テストサンプルPrsbのシグナルも正確にとれた。それと同時に從来1.5K迄しか下らなかった温度をHe^3を使用可能にしたグライオスタットによって,O.4Kまで下げる事が出来ると共に最高120KOe迄の磁場中での磁気抵抗,ホ-ル効果の測定を可能にした。この装置を使ってNpPt_3の測定が行われ,複雑な磁気相図の存在を明らかにすることが出来た。 3)外国研究者の受け入れ カ-ルスル-エ研究所のJ.C.Spiletは超ウラン化合物物性研究の結晶作成面での中心人物で,彼の2年度及び最終年度での招へいは全研大洗施設の現場での討論及び各段階でのプロジェクトとの調整及び彼を含めての最終年度しめくくりの研究会が平成4年3月7日金属材料研究所でもたれ,50名に及ぶ参加者が熱心な討論を行った。 グルノ-ブル研究所のJ.Henryは大洗施設でUAl_3の大型單結晶を作製し,フランスにそれが送られ,中性子回折実験が進行中である。 4)理論面での発展 相対論的バンド計算の世界的第1人者である新潟大,長谷川彰によってPuTe,NpTeのバンド計算が行われた。その結果はNagel等の光電子分光測定結果と比較し,はじめて超ウラン化合物で信頼のおけるバンド計算が行われた事が明らかとなった。 今后の課題 本研究のプロジェクトによって先進的な経験の導入をはかることが出来た。測定面での画期的改善及び新装置完成は,国際協力真献で高く評価されるものの,研究面での收獲はむしろ今后それを駆使してゆくことによって得られるものであり,理論面での初期的な成功も踏まえて,超ウラン化合物の物性研究での長期的な展望にたった国際協力研究の継続発展を切望するものである。
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