中華人民共和国海南省三亜市国営南島農場医院にて新しいマラリア原虫薬剤耐性試験法の開発および免疫学的研究を行なった。 1.マラリア原虫薬剤耐性試験 平成元年度は蛍光強度測定法による試験法の開発を進めたが同法では結果を出すまでの全ての操作を現場にて行うためには一定の機器を整えた研究室を必要とするため2年度はDNAプロ-ブによるハイブリダイゼ-ション法の導入を試みた。酵素標識プロ-ブをはじめとして全て調製済みの試薬を持込むことにより患者から検査材料(血液)の採取から原虫の薬剤耐性度を得るまで全ての操作を現場にて3日間で行なえた。検体ごとに4種類の薬剤について試験をハイブリダイゼ-ション法と従来からの顕微鏡下での形態観察法(WHO標準法)との比較を行ない一致を確認した。次年度以降に検討すべき問題として感度をあげること、検体ごとの原虫血症率の違いの調整法、技法の簡便化等を残した。 2.免疫学的研究 マラリア患者末梢血よりリンパ球と血漿を採取し液体窒素中に保存して持帰った。抗体アイソタイプの検討により平成元年度に引続き感染防御における原虫特異的1gG3の重要性を示す結果が得られた。さらにリンパ球を培養して抗原刺激による抗体産生を調べIgG3産生におけるリンホカインの調節作用について検討を進めている。 3.今後の展望 薬剤耐性試験法は発光基質とフィルムの組合せで感度の上昇と検出時間の短縮を計画するとともに試験法のシステム化を検討している。免疫学的研究ではさらに例数を増やし疫学における感染防御能を計る方法の確立を進めるとともに感染によって成立するマラリア感染の防御免疫機構を解明しワクチン開発の基礎とする予定である。
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