電子陽電子衝突装置LEPでのOPAL検出器による新粒子探索と素粒子相互作用の研究

1990 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01044047
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 蓑輪 眞 東京大学, 理学部, 助教授 (90126178)
• 研究分担者: 塚本 俊夫 東京大学, 理学部, 助手 (40217287) ; 森 俊則 東京大学, 理学部, 助手 (90220011) ; 真下 哲郎 東京大学, 理学部, 助手 (60181640) ; 福永 力 東京大学, 理学部, 助手 (00189961) ; 竹下 徹 東京大学, 理学部, 助手 (70154995) ; 川本 辰男 東京大学, 理学部, 助手 (80153021) ; 武田 廣 神戸大学, 理学部, 教授 (30126114) ; 小林 富雄 東京大学, 理学部, 助教授 (50126059) ; 折戸 周治 東京大学, 理学部, 教授 (10092173)
• キーワード: 欧州原子核研究機構 / 大型電子・陽電子衝突装置LEP / Z^0中間子の崩壊 / 標準模型 / 軽いニュ-トリノの世代数 / 暗黒物質 / ヒッグス粒子 / 超対称性理論

研究概要

欧州原子核研究機構(CERN)の大型電子・陽電子衝突装置LEPは、平成2年4月より第2回目の本格的物理実験のための運転を始め、これを同年8月末に終了した。この間東京大学の参加するOPAL実験グル-プは、順調にデ-タ収集を行ない約17万例のZ^0中間子の崩壊例を集めた。大型コンピュ-タを駆使した精力的な解析努力の結果、次のような物理学上の成果が得られた。前年度得られた結果と本年度の結果は、大筋で一致している。しかし収集された事例数が本年度のほうが圧倒的に多いため、本年度の成果は飛躍的に高い精度を実現している。
1)Z^0中間子の諸性質を精密に測定した。例えば、Z^0中間子の質量の測定精度は、約10MeVですでにLEPのビ-ムエネルギ-の測定精度より3倍も小さな値となっている。この結果、Z^0中間子の諸性質は、標準模型でよく記述できることが、高い精度で確認された。
2)軽いニュ-トリノの世代数は3であることを3つの方法で結論した。そして、この結果は宇宙の暗黒物質の素粒子候補に強い制限を付けた。
3)トップクォ-クの質量は、ほぼ150GeV程度であることが推定された。
4)ヒッグス粒子の質量は、44GeVより重い事が明らかになった。
5)超対称性理論やその他の標準模型を越える様な理論の予言する粒子の探索がなされ、これらの超対称性粒子等の質量に強い制限が付けられた。
以上の成果はすでに、論文としてまとめられ既に学術雑誌に出版されたか、又は出版が決定している。またこれらの結果は逐次国際会議等で報告されその報告書に発表されている。

研究成果

• [文献書誌] OPL collaboration M.Z.Akrawy,et al: "A combined analysis of the hadronic and leptonic decays of the Z^0." Phys.Lett.B. 240. 497-512 (1990)
• [文献書誌] OPAL collaboration M.Z.Akrawy,et al: "A search for technipions and charged Higgs bosons at LEP." Phys.Lett.B. 242. 299-308 (1990)
• [文献書誌] OPAL collaboration M.Z.Akrawy,et al: "A measurement of global event shape distributions in the hadronic decays of the Z^0." Z.Phys.C47. 505-521 (1990)
• [文献書誌] OPAL collaboration M.Z.Akrawy,et al: "Evidence for final state photons in multihadronic decays of the Z^0." Phys.Lett.B. 246. 285-296 (1990)
• [文献書誌] OPAL collaboration M.Z.Akrawy,et al: "Analysis of Z^0 couplings to charged leptons." Phys.Lett.B. 247. 448-457 (1990)
• [文献書誌] OPAL collaboration M.Z.Akrawy,et al: "A study of coherence of soft gluons in hadron jets." Phys.Lett.B. 247. 617-628 (1990)