研究分担者 |
関 飛 大連理工大学, 土木工程系, 助手
〓茂 田 大連理工大学, 土木工程系, 講師
楼 〓麟 大連理工大学, 土木工程系, 助教授
小長井 一男 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (50126471)
佐藤 忠信 京都大学, 防災研究所, 助教授 (00027294)
林 〓 大連理工大学, 土木工程系, 教授
LIN Gao Dalian University of Technology, Department of Civil Eng,. Professor
LUAN Maotian Dalian Universtiy of Technology, Department of Civil Eng. , Lecturer
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研究概要 |
本研究は、構造物と地盤との動的相互作用における耐震解析を通して得られる知見を、長大土木構造物の耐震設計へフィ-ド・バックすることを目的としたもので、内容として以下の事柄に視点を置いた。 (1)地震波の表層地盤内の伝播特性からの増幅・位相効果, (2)地盤と構造物の動的相互作用における基礎の動特性評価, (3)強震時の相互作用系の安全性へ及ぼす地盤の非線形性 (4)進行性入力地震波の多点入力系構造物の応答への影響 表層地盤の地震波の増幅作用評価で、本解析では2次元モデルを主体にし、不整形基盤上の沖積層内の波動伝播を調べた。解析法として、振動数領域法と時間領域法の境界要素法、またそれらの有限要素法とのハイブリッド法を採った。パラメ-タには、入射波種別入射角、地形、形状比を設定し、代表的な無次元振動数に対する地表面の応答の様相を明らかにした。振動数領域解析では、解析精度の検討のため直接法と共に間接法を採用した。これらの解析で必須となる一様/層状の無限/半無限平面のグリ-ン関数の定式化およびその効率的計算法の開発を行った。特に波数積分におけるレ-リ極を考慮したGaussの求積求、修正ClenshawーCurtis法の適用を図った。これにより、遠地盤において層状構成をなす場合の解析が可能となり、またソ-ス間接法による第セセットの採り方に基準を与えることができた。層状地盤の場合、薄層要素法を近似的に使用することの精度について言及した。 軟弱地盤上の基礎形式として群杭が多く、そのため地盤との相互作用における杭ー地盤ー杭の連成解析法を開発した。定式化は地盤と杭をサブストラクチャ化して、自然地盤に加振力の作用がある状態と、杭が地盤反力を受ける状態とする。前者は薄層要素法から対処し、後者は離散質量系と分布質量系を採り、両手法による杭頭インピ-ダンスを比較した。さらに大口径杭の加振実験,シミュレ-ションを実施して解析精度の検証を行った。 剛体埋込み基礎の地盤との動的相互作用解析を、地盤の層状性,複数基礎の隣接状況、建設時の埋め戻し状況に関してパラメ-タ・スタディを行い、設計段階で採用する理想化された地盤のモデル化について言及した。 強震時の地盤の挙動は大ひずみ状態で、土の応力ーひずみ関係において強い非線形性を、また入力地震波の不規則性のため基線のドリフトを伴う履歴性を呈する。ここでは応力ーひずみ特性に修正RーO,修正HーDモデルを仮定して、1次元/2次元地盤震動解析を実施した。2次元モデルによる解析は、不整形基盤上の沖積層の震動特性に注目したものである。応答評価は時刻歴と応答スペクトルで行った。入力地震波の強度、波形を変えて応答に与える非線形性の影響を調べた。有効ひずみに基づく等価線形化手法による解析も併せて実施した。これらの結果から、不整形地盤の2次元非線形応答の重要性を指摘した。従来、等価線形化1次元解析による結果の実測との対応からの妥当性について疑問が持たれていたが、本研究を通して検討している。 最後に:杭基礎の地盤の非線形性を考慮しての地震応答解析を行った。先ず地盤の解析のみから遠地盤応答を計算し、これを杭ー地盤の動的相互作用系へ入力した。地盤モデルは層状とし、1次元モデル化した。杭への地盤反力の評価には、深さ方向に平面ひずみ状態を仮定して解析解を求め、変位ー力持性を応力ーひずみ関係と相似な非線形履歴曲線を規準ひずみに対応させた変位から用いた。併せて等価線形化解析も実施した。非線形解析との比較より、等価線形化手法はひずみレベルの小さい入力加速度の範囲では妥当性を与えるが、入力加速度が大きくなると応答の周期の伸び、加速度応答は小さくなるが変位応答が大きくなるという差が顕著に構造物において見られた。
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