研究課題
国際学術研究
ピロロキノリンキノン(PQQ)は1979年に構造決定された新規な補酵素でありPQQの研究はこれまで日本の飴山らのグル-プとオランダのDuineらのグル-プが世界のPQQ研究の中心となって行われてきた。2つの研究グル-プはその研究基盤を異にし、飴山らが微生物生化学を基盤においているのに対し、Duineらは有機化学を基盤にしており、これまで別々に研究を行ってきたが、今回初めて共同研究への道が開かれた。飴山は昨年夏にロ-マで開催された欧州生化学会での招聘講演を機にヨ-ロッパにおけるPQQ研究の現状を視察し資料収集を行った。イタリアのロ-マ大学、フィレンツェ大学ではアミンオキシダ-ゼを中心とするPQQ酵素関連の研究について、スイスのロシュ生化学研究所栄養化学部門ではPQQのビタミン作用に関する研究について調査、資料収集を行った。フランスではパスツ-ル研究所遺伝学部門でPQQ生合成能欠損変異株の研究を行っているGasserらよりPQQ生合成系の遺伝子レベルでの研究の現状について情報を得、資料収集を行った。イギリスのサザンプトン大学ではAnthonyらが現在行っているメタノ-ル及びメチルアミン酸化と細胞エネルギ-獲得機構についての研究を視察し、資料収集を行った。ヨ-ロッパ視察の最後にオランダのデルフト工科大学で研究分担者のDuineらのグル-プとPQQ研究の現状分析を行い、今後の具体的な共同研究について詳細な打ち合せを行った。更に第2回PQQ国際シンポジウムの開催についても話し合われ、1991年に日本で開催すべく準備をすすめることとなった。品川はDuine研究室でPQQの細胞分裂・増殖促進機構の解明を行うため、動物細胞の培養技術を教授し、Duine研究室で最近開発された、有機化学的手法を用いたPQQの抽出、定量法の技術を収得した。現在、成果のとりまとめを行っているところである。今後は両グル-プ間で更に密に情報の交換を行い、共通する課題について相補的に研究を行う予定であり、次年度にはオランダの研究分担者1人が来日して、メチルアミン酸化系の再構成の研究を行う予定となっている。