研究課題/領域番号 |
01044114
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 大阪大学 (1990-1991) 熊本大学 (1989) |
研究代表者 |
島田 和典 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (40037354)
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研究分担者 |
ROBERTSON El コロンビア大学, 医学部, 助教授
GOTTESMAN Ma コロンビア大学, 癌研究所, 所長
前田 秀一郎 熊本大学, 医学部, 助教授 (10117244)
西口 聖治 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (90237686)
ROBERTSON Elizabeth J. College of Physicians and Surgeons of Columbia University
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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キーワード | 遺伝子標的組み込み / 相同DNA間組換え / 胚性幹細胞 / 疾患モデルマウス / キメラマウス / プレアルブミン / アミロイド-シス / 遺伝性疾患 |
研究概要 |
1.マウスプレアルブミン(PA)遺伝子に挿入変異を導入するための置換ベクタ-を作製した。ベクタ-は、「マウスPA遺伝子の5'ーflanking regionー第1エクソンー第1イントロン:MCーneo遺伝子を挿入した第2エクソン:第2イントロンー第3エクソンー第3イントロンの一部:MCーtk遺伝子」をこの順に融合して作成した(MCプロモ-タ-は、ヘルペスtk遺伝子のプロモ-タ-にポリオ-マウイルス由来のエンハンサ-を融合したもので、ES細胞でマ-カ-遺伝子を発現させる)。 2.ES細胞に1.の挿入変異導入用ベクタ-をエレクトロポレ-ション法で導入し、G418およびgancyclovir(GANC)で選択したところ、GANCによる濃縮効果は、約4倍であった。この結果は、他のグル-プによる報告とも良く一致し、GANCによる濃縮効果は、数倍から十数倍程度が一般的と考えられた。132個のG418およびGANC耐性コロニ-をPCR法およびサザ-ンブロット法でスクリ-ニングしたところ、6個という高い頻度で標的組み込み細胞株を得た。 3.このPA遺伝子の一方のアレルに挿入変異が導入された6個の標的組み込みES細胞株をマウスの胚盤胞に注入し、キメラマウスの作製を試みた。この結果、1個のES細胞株から子孫に変異遺伝子を伝える生殖系列キメラマウスが得られた。 4.3.の生殖系列キメラマウスと野生型マウスとの交配によって得た71匹のF1マウスの約半数が、一方のPA遺伝子の挿入変異をもつヘテロ接合体であった。このことから、ヘテロ接合体は、胎生期における発達段階において、特に障害を来さないことが示唆された。ヘテロ接合体マウスには、外見上何の異常も認めなかった。 5.4のヘテロ接合体マウス同士の交配によって得たF2マウスのうち約25%の頻度でホモ接合体が出現し、メンデルの分離比に従っていた。これらホモ接合体マウス血中にはPAが全くないことをウェスタンブロット法で確認した。このことから、PAは、発生の早期より、卵黄襄内皮細胞や肝及び脈絡叢の原基で発現しているにもかかわらず、完全に欠損しても、胎生期において致死的ではないという新事実を明らかにした。現在、生後7ヶ月のこれらマウスには外見上、何の異常も認めていない。今後、発育状態や、病理組織学的、内分泌学的検討を加えることによって、PAの生理的機能、特に神経系における役割を解析したいと考えている。また先にヒト変異PA遺伝子をマウス受精卵に導入する方法で作製した家族性アミロイドポリニュ-ロパチ-(FAP)のトランスジェニックマウスモデルは神経障害をきたさない。そこで、上記ホモ接合体マウスにFAPの病因となるヒト変異PA遺伝子を導入し、FAPにより近似したモデルマウスの確立を試みる計画である。 6.マウスPA遺伝子の第2エクソンにFAPの病因となる点変異を導入するための置換型ベクタ-を作製した。ベクタ-は「マウスPA遺伝子の5'ーflanking regionー第1エクソンー第1イントロン:目的のVal30ーMet変異を導入した第2エクソン:第2イントロンの一部*:MCーneo/MCーtk遺伝子:*を含む第2イントロンー第3エクソンー第3イントロンの一部」をこの順に融合して作製した。 7.ES細胞に6.の点変異導入用のベクタ-をエレクトロポレ-ション法によって導入し、出現したG418耐性コロニ-6個を1グル-プとして、128グル-プを変異アレル特異的PCR法によってスクリ-ニングしたが、標的組み込み株を検出できなかった。
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