研究分担者 |
キンケード ポール オクラホマ医学研究センター, 部長
スミス ケンドール ダートマス大学, 医学部, 教授
メルシャーズ フリッツ バーゼル免疫研究所, 所長
山口 直人 熊本大学, 医学部, 助手 (00166620)
富永 明 熊本大学, 医学部, 助教授 (50172193)
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研究概要 |
今年度はILー5受容体のCDNAクロ-ニング及びその精製を中心にして共同研究を行なった。前年度樹立したILー5反応性B前駆細胞株よりブライアン・シ-ドの開発した発現ベクタ-CDM8を用いてcDNAライブラリ-を作製した。このライブラリ-を発現させたCOS7細胞を前年度作製した抗ILー5受容体抗体H7とT21を用いて選別し,ILー5受容体をコ-ドするcDNAクロ-ンを単離した。このcDNAはアミノ酸残基数で17個のシグナルペプチド,322個の細胞外部分,22個の膜貫通部分,54個の細胞質部分よりなる分子量45284のタンパク質をコ-ドしていると推測される。この分子は細胞部分に4カ所Nーグリコシル化部位を持ち,そのため分子量6万の分子として存在すると考えられる。また膜貫通部分を欠いたcDNAクロ-ンが認められ,これに相当するmNAもILー5反応性B前駆細胞に認められた。このcDNAクロ-ンをCOS7細胞に発現させることにより,培養上清中に分子量約5万の分泌型ILー5受容体を認めた。この分子はILー5の受容体への結合を阻害した。またH7抗体を用いたアフィニティ-精製法によりILー5受容体を精製してアミノ酸配列をN端から17残基決定したところcDNAから推測される配列と一致していた。バ-ゼル免疫研のフリッツ・メルシャ-ズ所長は本研究室に来られ,胎児肝細胞よりストロ-マ細胞とILー5の存在下にB細胞に運命づけられた幹細胞株(初期B細胞株)の研究について話された。興味深いことに彼等の樹立した細胞株はすべてCD5^-であり,我々が骨髄細胞の長期培養によりストロ-マ細胞とILー5の存在下に得た細胞はすべてCD5^+であった。従ってこの2つのB前駆細胞株樹立のシステムはこれら2系統のB前駆細胞の研究に有用であると考えられる。またポ-ル・キンケ-ド部長からストロ-マ細胞とB前駆細胞との相互作用を媒介している接着分子について情報を得た。
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