研究分担者 |
増井 禎夫 トロント大学, 動物学部, 教授
マーカート クレメント ノースカロライナ大学, 動物学部, 教授
若杉 正司 熊本大学, 医学部, 助手 (50201140)
田代 文 熊本大学, 医学部, 助手 (40136213)
宮崎 純一 熊本大学, 医学部, 助教授 (10200156)
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研究概要 |
挿入突然変異マウス作製を通して,変異した遺伝子の解析と変異にもとづいておこる表現型とを直接関連させて解析するため,双方のデ-タをもとに研究・議論を行なった。まず胚幹細胞を用いた挿入変異に関してであるが,(1)胚幹細胞としてはD3やCCEが良いこと,(2)feeder細胞として,STOで十分であること,(3)STOにLIF(leukemia inhibitory factor)の遺伝子とneo耐性遺伝子を導入し,胚幹細胞の樹立に適したSTOを樹立しLS10と名付けた,(4)胚幹細胞を分化能を保ったまま培養するのに必須と考えられるLIFの安定供給をはかるため,LIF遺伝子を発現ベクタ-に組込み,培養細胞に導入し発現させた。その結果,培養上活中に10^7unit/ml程度の活性が認められ十分量のLIFの確保ができたこと,(5)培養に重要な牛胎児血清もロットチエックにより25〜50本に1本適したものが存在すること,(6)キメラマウス作製時のレシピエントとしては,近交系マウスであるC57BL/6マウスが良いこと,(7)胚幹細胞の胚盤胞への注入時には温度は4〜10℃,培養液のpHは8.0が良いこと等が明らかとなった。以上の条件下でキメラマウスが約40%の確率で生まれること,キメラ個体における胚幹細胞の占める割合が極めて高くなることが明らかとなった。一方,受精卵を用いた挿入変異に関しても,(1)胚盤胞迄への培養条件が確立し,90%以上の確立となったこと,(2)neo耐性遺伝子を受精卵の前核中にマイクロインジェクションし胚盤胞に至る迄の培養中にG418で選択しうることが明らかとなった。以上のように基本的実験条件がほぼ確立したので,現在遺伝子の変異と表現型の変異をもっとも直接的に結びつけて解析しうると考えられている遺伝子トラップを行なうことを計画し,そのためのベクタ-を作製した。これを用いて遺伝子トラップを行なっているところである。
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