Molecular biological study on the renal alphaー2 adrenoceptors in genetic hypertension 遺伝性高血圧症における腎a^2受容体の研究=生理・生化・分子生物学的手法を用いて=

1990 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01044121
• 研究機関: 横浜市立大学
• 研究代表者: 石井 當男 横浜市立大学, 医学部, 教授 (90010363)
• 研究分担者: PETTINGER W. Midwest Hypertension Research Institute, 研究所所長 ; 安田 元 横浜市立大学, 医学部, 非常勤診寮医 (10145675) ; 梅村 敏 横浜市立大学, 医学部, 助手 (00128589)
• キーワード: α_2受容体 / 高血圧自然発症ラット(SHR) / Dahl rat / cyclic AMP / α_2受容体遺伝子 / HT29細胞 / OK細胞 / NG108ー15細胞

研究概要

(1)a_2受容体遺伝子の研究
(1)遺伝子性高血圧ratであるDahl S ratおよびSHRで各々のcontrol ratに比較し、制限酵素断片多型性(RELP)の存在が明らかとなった。SHRではこのRFLPが血圧と関係する可能性が示唆された。
Dahl SとR ratのCross breedingにより得られたF_2世代のα_2受容体RFLPの分布を検討した結果、この分布はメンデルの法則に従わないことが明らかとなった。これはS S genotypeのα_2受容体geneまたは、このgene付近の他のgeneの存在が胎児期等での死亡率を高める可能性を示唆する。
(2)薬理学的方法により分類されているα_2Λ、α_2B、α_2C受容体が各々存在する培養細胞HT29細胞、NG108ー15細胞、OK細胞を用い、α_2受容体mRNAの発現について検討した。これら細胞のmRNAのNorthern BlotSRibonuclease protection assayの結果、α_2C_4probeはOKとNG両細胞とhybridize時にbandが存在し、C_4geneがこれら細胞で転写されていると考えられた。HT細胞ではC_<10>geneが転写され、さらに他の一つのbandが存在し、α_2受容体の他のsubtypeの存在が示唆された。
(2)α_2受容体細胞内情報伝達系の検討
rat培養腿質部集合尿細胞において、rauwolscineとの結合実験の結果α_2B受容体の存在が示唆された。また、α_2C_4probeとこの培養細胞mRNAとのhybridizationでbandが存在し、α_2C_4geneの転写が考えられた。また、バゾプレシン刺激下でのcAMP産生抑制作用も明らかとなった。しかし、この抑制作用は単離皮質集合尿細管での作用とはagonistへの特異性で異なることも明らかとなった。

研究成果

• [文献書誌] Jeffries,W.B.,et al: "α_2ーAdrenergic receptor subtype expression in cultured rat inner medullary collecting duct cells." Kidney International. (1991)
• [文献書誌] Sun,L.,et al: "Characterization of α_2ーadrenoceptor subtypes in cultured cell lines:Northern blot and ribonuclease ptotection study." The FASEB Journal. 5. (1991)
• [文献書誌] Sun L.,et al: "The distorted a_2ーadrenoceptor genotype distribution in F_2 rats of sand R cross." Clinical Research. (1991)
• [文献書誌] 梅村 敏: "腎臓α受容体の構造と機能" 医学のあゆみ. 151. 199-202 (1989)
• [文献書誌] 梅村 敏他: "交感神経α_1,α_2受容体の遺伝子レベルからみた細分類" 医学のあゆみ. (1991)
• [文献書誌] 梅村 敏: "臨床生理学シリ-ズ「腎臓」 腎機能の調節 神経性調節" 南江堂, (1989)
• [文献書誌] 梅村 敏他: "レセプタ- 基礎と臨床 高血圧とレセプタ-" 朝倉書店, (1991)