研究分担者 |
HAL B. Marin University of Rhode Island, Graduate Scho, Marine Sci
ARIMOTO Rich University of Rhode Island, Graduate Scho, Marine Sci
ROBERT A. Du University of Rhode Island, Graduate Scho, Professor
田中 茂 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (10137987)
MARING Hal B. Associate Marine Scientist, School of Oceanography, University of Rhod Island
DUCE Robert A. Professor, School of Oceanography, University of Rhod Island
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研究概要 |
平成元年度において、日米共同大気調査を西インド諸島バルバドス島において行った。調査地点は、バルバドス島西端の岬の先端に選定した。大気試料採取のため、高さ16mの鉄塔を建設し、その上で大気試料の採取を行った。米国側が担当した鉄塔の建設を含むバルバドス島での大気調査の為の準備は昭和63年秋に終了し、既に米国側では大気試料の採取を開始しており、日米共同大気調査は平成2年3月中旬に開始した。日米共同大気調査は、日本側から田中、米国側からMaringが参加し、ロ-ドアイランド大学での1週間の準備と現地バルバドス島での1週間の準備を経て開始する事ができた。以後一年間、現地のオペレ-タ-により、ハイボリュ-ムサンプラ-は7日間毎、又、ロ-ボリュ-ムサンプラ-は3〜4日間毎にフィルタ-の交換を行い大気試料が採取される。ハイボリュ-ムサンプラ-により採取した試料は、主に、大気粉塵中の重金属や有機ヒ素・セレン化合物の分析に使用する。一方、ロ-ボリュ-ムサンプラ-により採取した試料は、大気中の微量ガス(二酸化硫黄、アンモニア等)の分析に使用する。 バルバドス島における大気粉塵中の重金属及び二酸化硫黄の測定結果から、北米大陸からのこれら汚染物質の北大西洋への輸送過程を捕えることができ、汚染物質の影響を把握すること。又、大気粉塵中の土壌成分に注目し、サハラ砂漠からの砂塵の北大西洋への長距離輸送を確認し、地球規模での物質移動を定量的に捕えること。更に、有機ヒ素・セレン化合物の測定結果から、海洋における微生物の生物的活量を捕え、これら金属のメチル化の機構を解明できること。以上の点について、本共同大気調査を行うことによりその研究成果が期待できる。 現在、バルバドス島で採取した試料は、米国ロ-ドアイランド大学に送られ保管されているが、慶応大学には送られておらず、試料の分析は終了していない。しかしながら、本共同研究は、平成2年度も継続されており、今後、試料の到着しだい分析を行う予定であり、前述した研究成果を十分に得ることができる。 一方、昭和63年度海外学術研究(日米共同研究)により、北大西洋上バミュ-ダ島における日米共同大気調査は、平成元年2月から開始された。そして、平成元年2月〜11月の期間中にバミュ-ダ島で採取された大気試料は、慶応大学に郵送され、そのほとんどの大気試料の分析は平成元年度に終了した。バ
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ミュ-ダ島における日米共同大気調査による測定結果(平均大気濃度)を以下に示す。 1.ハイボリュ-ムサンプラ-で採取した大気粉塵試料 (1)主要化学イオン種;C1^-2.55μg/m^3(n=37),NO_3^-0.44μg/m^3(n=37),SO_4^<2->2.16μg/m^3(n=37),Na^+1.99μg/m^3(n=37),NH_4^+0.17μg/m^3(n=32),K^+0.13μg/m^3(n=37),Ca^<2+>0.12μg/m^3(n=37),Mg^<2+>0.31μg/m^3(n=37)nnsSO_4^<2->(non sea salt sulfate)1.66μg/m^3(n=37). (2)有機硫黄(MSA:メタンスルホン酸)及び有機ヒ素(MMAA:モノメチルアルソン酸,DMAA:ジメチルアルシン酸TMAO:トリメチルアルシンオキサイド);MSA36.4ng/m^3(n=37),MMAA2.2pg/m^3(n=10),DMAA4.0pg/m^3(n=28)TMAO5.2pg/m^3. (3)無機ヒ素・セレン;Se205pg/m^3(n=35),As160pg/m^3(n=31). 2.ロ-ボリュ-ムサンプラ-で採取した大気微量ガス試料 (1)SO_20.053ppb(n=53),HCl0.51ppb(n=39),NH_30.088ppb(n=40). (2)メチルアミン(MMA:モノメチルアミン、DMA:ジメチルアミン);MMA0.14ppt(n=31),DMA0.93ppt(n=32) バミュ-ダ島の海洋大気中のSO_2濃度は、平均値で0.053ppbとなり、北米大陸のニュ-ヨ-ク等の大都市におけるSO_2濃度レベル(10〜100ppb)に比較して1/100〜1/1000程度と極めて低い値であり、陸上から離れた外洋大気中のSO_2のバックグラウンドレベルであると言える。しかしながら、バミュ-ダ島の海洋大気中の非海塩性硫酸塩(nssSO_4^<2->)濃度は平均値で1.66μg/m^3であり、この値は外洋上でのnssSO_4^<2->の大気濃度0.4〜0.6μg/m^3と比較して3〜4倍も高く、北米大陸からの人為的起源の硫黄が長距離輸送されている可能性が高い。そして、北米大陸から1000km以上離れた北大西洋のバミュ-ダ島において、長距離輸送されてくるSO_2は輸送過程でその殆どが酸化され硫酸塩となることが判った。 隠す
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