研究課題/領域番号 |
01044127
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
柳澤 孝彰 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (10096513)
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研究分担者 |
RICHARDS A Royal Dent. Coll. 歯学部(Denmark), 助教授
JOSEPHSEN K Royal Dent. Coll. 歯学部(Denmark), 教授
FEJERSKOV O Royal Dent. Coll歯学部(Denmark), 教授
見明 康雄 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (00157421)
東田 久子 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (80085828)
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キーワード | 実験的弗素症歯 / 琺瑯質 / 高石灰化層 / 低石灰化層 / 高分解能透過型電子顕微鏡 / 高分解能走査型電子顕微鏡 / 水酸アパタイト / フッ化アパタイト |
研究概要 |
本年度観察した未萌出および萌出途上にある実験的ブタ弗素症には、肉眼にはいかなる欠損も認められないが、琺瑯示は広範囲にわたって白変粗〓化し、透明感が失われていた。研磨標本で観察すると、琺瑯質最表層の薄層は比較的高度に石灰化し、その直下に低石灰化層と識別される幅広い帯状の層を伴っている。高分解能透過型電子顕微鏡で両層を構成する結晶をその(100)面から観察すると、高石灰化層は、格子間隔からhydroxyapatiteと同定される扁平六角形の大型結晶と、やはり格子間隔からfluorapatiteと同定され正六角形の外形を示す小型の結晶とからなり、それらが密に分布配列している。また大型結晶は dark lineをその中央に認めるが、小型結晶にはそれが観察されず、しかもその大きさは大型結晶の半分以下のものが多い。これに対し、低石灰化層では、大型結晶のみが鬆疎に配列し、小型結晶は極めて少ない。萌出後10数年を経過したヒト弗素症歯琺瑯質にも同様の所見が観察されるが、それとの大きな違いは、実験的ブタ弗素症歯最表層琺瑯質には小型結晶の量が極度に少ないこと、低石灰化層ではヒトの場合に見られたような、辺縁部の溶解を伴う結晶や中央部に穿孔を伴う結晶が全く認められないことである。なお、これらの結果は、第46回日本電子顕微鏡学会(5月前橋、第46回日本電子ら微鏡学会学術講演会予稿集、p.266、1990)、第240回東京歯科大学学会(6月千葉、歯科学報 90:880,1990)、および第 7回 Annual Meeting of the Europian organization for Caries Research(8月Oslo.Norway,Caries Res., 25: in press.1991)にて発表した。その他、実験的ブタ弗素症菌の表面を高分解能走査型電子顕微鏡により検索し、そこに種々の大きさの結晶が不規則な配列方向を示す電顕的小欠損が存在することを観察した。また、化学分析やXMAにより表層琺瑯質に弗素が高濃度に分布することも確認した。
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