研究課題/領域番号 |
01044166
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岩坂 泰信 名古屋大学, 空電研究所, 教授 (20022709)
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研究分担者 |
岩上 直幹 東京大学, 理学部, 助手 (30143374)
鈴木 勝久 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (60011764)
岡野 章一 東北大学, 理学部, 助手 (30108451)
福西 浩 東北大学, 理学部, 教授 (90099937)
近藤 豊 名古屋大学, 空電研究所, 助教授 (20110752)
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研究期間 (年度) |
1989
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キーワード | 北極 / 赤道 / 成層圏 / 熱圏 / オゾンホ-ル / 気球観測 / レ-ザ-レ-ダ- / 分光観測 |
研究概要 |
本研究は、大きな2つのネライを持って実施された。ひとつは、従来試験的に試みられてきた北極成層圏観測を継続・発展させる端緒を開くことであり、もう一つは、大気化学反応システムの全球的な変動を把握するための予備的調査を、各地の現地調査や衛星デ-タの活用法の開発を通して行なうことである。 前者に関する研究では、1990年1月に各種窒素酸化物、オゾン、エアロゾルの気球観測をスエ-デンのキルナに置いて実施した。エアロゾル粒子の数密度観測を除いては、いずれも良好な状態で観測が実施され、北極圏成層圏でのオゾンホ-ル形成過程を解明するうえで貴重な資料を得た。また、南極と北極との大気化学上の差異を検討するうえでも貴重な知見を得た。とりわけ、不均一反応がオゾン濃度を大きく支配していると予想される極成層圏で、エアロゾル、窒素酸化物、及びオゾンに関して同時観測が実施できた意義はきわめて大きい。本観測の結果の詳細な解析を実施中である。なお、現地調査の結果、北極圏成層圏の化学反応システムの変動をモニタ-するうえで、当地がきわめて良好な条件を備えていることが判明した。これを受けて、今後の研究計画を検討する予定である。 後者に関する研究では、重要な観測点と予想されているハワイ、インドネシアの現地調査と人工衛星デ-タの解析が試みられた。インドネシアの現地調査では、ワッコセック気球基地の光学観測点としての環境が把握できた。亜熱帯グロ-の高感度全天カメラおよびファブリーペロー干渉計による亜熱帯グロ-の予備観測を行なった結果、ハワイ大学ハレアカラ観測所が今後の観測に適しているとの結論を得た。今後、STEP計画等では、当地での観測が大きな寄与をなすと考えられる。 なお、いくつかの技術的な問題の解決のため、担当の研究者がヨ-ロッパの研究機関(ロンドン大学、フランス国立科学研究センタ-等)を訪問し、有益な技術的情報を得て来た。 全球的な大気化学反応システムの変動をつかむための一助として、ニンバス衛星のオゾン全量観測値を検討した。あまり研究が進んでいなかった赤道地域に於いても、大気の不均一化学反応と言う立場から見て、興味ある現象が観察できた。しかし、関連する観測やの不足や、衛星デ-タの質が赤道域において低下する可能性、等今後に持ち越された問題もある。この点に関しては、この衛星観測に携わっている研究者からの意見を、直接徴収することが有効な問題解決と考えられる。今後に予定されている「太陽地球エネルギ-観測計画:STEP」や新プログラム「アジア太平洋地域を中心とする地球環境変動の研究」等において、この方面の研究を充分に進める必要があろう。 全球的観測をより発展させるため、北極で大気化学の研究を積極的に進めているアラスカ大学より研究者を招聘し、今後の極域大気研究(とりわけ北極圏の研究)を共同で進めるための研究打ち合せ会を持った。気球観測、地上分光観測、レ-ザレ-ダ観測などの可能性について詳細な検討を加えた結果、低緯度と高緯度の対比研究、あるいは南極・北極の対比研究を進めるうえでポ-カ-フラットに置ける共同観測研究が有効であろうとの結論を得た。この点も、今後の各種の計画で考慮すべき点と考えられる。
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