研究課題
研究目的は、海氷生成と気象、海象変動との関係、海氷の消長が海洋生物環境へと与える影響を明にすることである。このため発達した極域の海氷域と氷縁海オホ-ツク海北海道沿岸で以下の観測・研究を実施した。主な研究項目および成果を以下に示す。1.海氷生成による大気・海洋間の熱、運動量の輸送機構の変化および氷下乱流境界層の物理過程の研究.[成果]オホ-ツク海沿岸の薄氷域、北極海の発達した氷域で、気候変動予測研究に不可欠な種々の物理過程パラメ-タを決定した。2.海氷中、氷下の生物環境、微小藻類(植物プランクトン)、化学組成、栄養塩類、結晶構造の研究.[成果]初年度に引続き、オホ-ツク海沿岸で、海氷中に含まれる微小藻類(アイスアルジ-)量と海氷の構造との関係を観測中である。3.海氷による日射の減衰と生物光環境の研究.[成果]オホ-ツク海沿岸の定着氷および沖合い結氷域において、光量子量(日射の強さ)とクロロフイルーaの鉛直分布の観測を実施した。結氷域での光環境と生物量、栄養塩分布の関係については現在解析中である。4.オホ-ツク海北海道沿岸の結氷開始時の予測の研究.[成果]オホ-ツク海北海道沿岸の結氷初日および氷厚を気象条件(気温、風速)から推定することを試みた。実測との比較の結果、その実用性が確かめられた。5.オホ-ツク海北海道沿岸の流氷勢力の長期変動と気温の関係.[成果]北大流氷レ-ダ-による23年間の流氷勢力と気温との関係を調べ、地球温暖化による沿岸の流氷勢力の変化を予測した。この成果は海洋生物環境予測に応用される。
すべて その他
すべて 文献書誌 (6件)