研究課題/領域番号 |
01045015
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
鈴木 紀雄 滋賀大学, 教育学部, 教授 (90025354)
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研究分担者 |
板倉 安正 滋賀大学, 教育学部, 教授 (20027824)
遠藤 修一 滋賀大学, 教育学部, 助教授 (30111884)
川嶋 宗継 滋賀大学, 教育学部, 教授 (90093161)
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キーワード | ヒュ-ロン湖 / サギノ-湾 / 水位変動 / イオン成分濃度 / クロロフイル濃度 / 電気伝導度 / 付着藻類の総生産 / 硫酸還元 |
研究概要 |
ヒュ-ロン湖サギノ-湾における奥行き500mにわたるイグサ群落では岸から沖合いにかけて物理的、化学的、生物的性状が著しく異なる。岸側では水中のNa^<2+>、Ca^<2+>、およびHCO^-_3の濃度が特に高いため伝導度は高くなっている。これはイグサ群落が水の交流を阻害し、水の蒸発による濃縮効果が原因となっているものと考えられる。また、イオンの中で硫酸イオン濃度のみが岸側で低いのは、夜間に溶存酸素量が著しく減少し、夜明け頃にはほとんど溶存酸素量がゼロになるため硫酸還元が起こって濃度が高くなったと思われる。また、溶存酸素の減少は湖底堆積物からFe、Mn、SおよびPの溶出をもたらしこれらの濃度を相対的に高めている。沖側の湖水の濁度は著しく高いが、これは風による堆積物の巻きあがりによる。水中の電気伝導度、濁度およびクロロフイル濃度は岸側と沖側のほぼ中間地点で急激に変化する明確なフロントが存在する。 サギノ-湾南東部での水位変動は大きく、一日に大きいときで、50cmに達することもある。この水位変動に応じてフロントは前後に移動する。ただし、強風の吹送により岸よりの水と沖合の水とはある程度混合する。水位の変動の原因は風によることが大きく、北西・南東の風により湾の短軸方向の静振が発達する。水草地帯での水の動きは極めて緩やかで通常毎秒2cm、強風時や静振発達時には毎秒10cmである。一方、イグサにつく付着藻類の総生産量は岸から300mの所で高いが、分解量はどの地点でもほぼ同じである。付着藻類の純生産量は岸から200mより沖の方で正となるが、ここでは特に分解によって生じた栄養塩が付着藻類によって吸収されていることが推測される。
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