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1990 年度 実績報告書

長江下流デルタの開発と商業化の研究

研究課題

研究課題/領域番号 01045017
研究機関大阪大学

研究代表者

濱島 敦俊  大阪大学, 文学部, 教授 (40012976)

研究分担者 王 文楚  復旦大学, 歴史地理研究所, 教授
鄒 逸麟  復旦大学, 歴史地理研究所, 教授
魏 嵩山  復旦大学, 歴史系, 副教授
樊 樹志  復旦大学, 歴史系, 副教授
片山 剛  大阪大学, 文学部, 助教授 (30145099)
高橋 正  大阪大学, 文学部, 教授 (10081043)
キーワードデルタ開発 / 治水・水利組織 / 集落 / 水稲栽培 / 共同体 / 民間信仰 / 商業化 / 移住
研究概要

本年度は、上海市青浦県練塘鎮・郷の調査に重点を置いて実施した。地勢的に江南デルタ最低地に属する練塘では,その開発が比較的新しく,従来,文献的に確認された明末清初以降の江南デルタの諸表微が,著しく欠如していることが発見された。第一に,農民が水稲栽培にのみ従事する水稲単作地帯であり,商品生産としての換金作物栽培や副業が未発達である点が指摘できる。換金供物栽培や紡紗・織布等も行なわれるが,商品販売用ではなく,自給用である。 また,農民は米穀を季節的に何度かに分けて販売する。このため,米価の季節的変動は小さい。これは,収穫期に全部の米を販売し,以後は,換金作物栽培・副業によって現金収入を得るという江南デルタ農民に典型的な特徴,そして,米価の季節的変動が大きいという特徴と異なっている。第二に,農民生計中の漁業収入による補填度が高く,また,佃農以上はほとんど舟を所有するという特徴がある。これは,湿地帯での農業経営に舟が不可欠であることも要因となっているが,同時に,この地域の農民が,漁業を生業とする流動生活から農業による定住生活への過渡的段階にあったことをも推測させる。以上,江南デルタの開発早期の農村類型を見出だせたように思われる。民間信仰の面では、先に文献資料によって推測した“解銭糧"慣行,廟会時に周辺農村の神々すべてが鎮城隍廟に集中する“抬老爺"慣行等の実在を,練塘鎮での聴取により確認できた。“劉姓神"信仰に関する新しい知見も収集できた。
なお,練塘調査の後,上海市北部の棉作地帯に属する嘉定県で予備調査を実施した。ここでは,「村民小組」(=生産隊)の下に自然村があり,集落形態は「小村」「散村」に区分し得るものであった。すなわち,棉作地帯では集落の規模が小さいことがまず発見された。かような地域における共同組識の解明が来年度の主要な課題である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 濱島 敦俊: "江南劉姓神雑考" 待兼山論叢 史学篇. 24号. 1-18 (1990)

  • [文献書誌] 濱島 敦俊: "旧中国江南三角洲農村的聚落和社区" 歴史地理(中国). 10輯.

  • [文献書誌] 樊 樹志: "明清江南市鎮探微" 復旦大学出版社, -534 (1990)

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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