研究課題
1、本年度は(1)9ー10月に訪中し、山東省済南、青島、煙台、遼寧省大連を訪問し、対外経済関係行政機関、「経済技術開発区」、現地の代表的企業、日中合弁企業の訪問聞き取り調査と資料収集、山東大学との研究報告会を行った。(2)1992年2ー3月に訪中し、済南での補充調査と山東大学との研究取りまとめについての協議を行った。(3)研究の研究の取りまとめを行った。2、訪問調査では次の知見が得られた。中国の政府機関の日本企業に対する期待は想像以上に大きく、とくに企業進出(単に貿易ではなく)に対する要請が強い。中国の企業は、当面の利潤への期待よりも、技術移転への期待が大きく、要員の日本での教育を通じてのノウハウの吸収に並々ならぬ意欲をもっていることを伺わせた。また、日本企業と提携している企業は一様に日本型経営を取り入れようとしており、その成果が顕著であると考えられる。しかしながら、日本から進出している企業を日本側からみると、現状では「商売になっていない」というケ-スも見られ、将来を見越しての先行投資的色彩が強い。それゆえ、中国の市場経済化が期待するほど進展しない場合には、進出企業の経営は予断を許さないものになるという感をもった。したがって、中国経済の将来についての調査研究とくに「市場経済化の速度とその中国的形態」についての日本側からの調査研究は、日本の国益のためにも急務であると考える。3、資料収集では詳細な文献資料の入手と、企業および従業員に対するアンケ-ト調査が困難で予期した成果が得らず、特に本プロジェクトの一課題である、工場立地、基盤整備や交通条件等の工学的調査研究をまとめられるデ-タは得られなかったのは残念である。
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