研究課題
本年度はプロジェクト最終年度であり、これまでの成果にたって、まとめのための補足的調査との位置づけであった。現地調査は、ピッツバ-グ、北九州、尼崎で行い、国際比較を試みた。ピッツバ-グ調査の課題は、1)地域活性化における地方財政、2)先端産業育成を中心とする地域産業政策の展開、3)地域活性化のにない手としての非営利組織の状況、であった。多方面のインタビュ-と現地での研究者を交えた分析を通じて、新たな発見があった。第1に、アメリカにおける公的セクタ-の位置づけの低さであり、それは一時的なものではなく、建国以来の移民受け入れ政策と不可分に関わっていること、第2に、これまでの大企業中心の活性化から、機械工業などの中小企業や教育などの社会開発に重点が移ってきていること、第3にパブリック・プライ-ベ-ト・パ-トナ-シップの中心的なに泣いてであるノンプロフィット・オ-ガニゼ-ションもこれまでのACCDばかりではなく、コミュニティ-・デヴェロップメント・コ-ポレ-ション(CDC)が多数生まれ、活発な活動を展開していたこと等である。ピッツバ-グは全体として、失業率も全国平均より低く、地域の経済的再生は成功しているかに見える。しかした方では閉鎖した工場跡を抱えるいわゆる見るタウンの再生については依然として困難な状況であった。日本における北九州及び尼崎調査は、ピッツバ-グから招聘者を軸に、ピッツバ-グの目からみた日本の地域再生の評価を中心に行った。調査は自治体、商工会議所、主要企業などのインタビュ-で行われた。両市に対するアメリカ側の印象はともに、政策当局のエネルギッシュな活動であり、そこからその展望をきわめて明るいものにとらえている。今後の課題として、大気汚染と労働力不足への対応が提言されている。
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