研究課題/領域番号 |
01065004
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
増田 彰正 東京大学, 理学部, 教授 (40030788)
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研究分担者 |
米田 成一 日本大学, 文理学部, 助手 (60210788)
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キーワード | テクネチウム / 隕石 / モリブデンの同位体比 / ルテニウムの同位体比 / 消滅核種 / 二重ベータ壊変 / テクネチウムの半減期 / テクネチウムの壊変様式 |
研究概要 |
平成元年度末現在における研究の進行状況は以下の通りである。 (1)Tcー99を購入し、分析化学的精密測定法の実際的検討を開始した。〔このTcには、約百万分の1のTcー98が入っていることをγ線カウンターで確認した。〕 (2)核のエネルギーレベルを検討し、Tcー98は、β^-壊変と共にEC壊変も行う可能性があることを推論した。 (3)隕石の中に、Tcの壊変による効果を発見するためには、MoとRuを純粋にそれぞれ分離し、両元素についてそれぞれの同位体存在比を精密に測定する必要がある。この測定のために購入した専用の質量分析計が、輸送中の事故のために6ケ月到着がおくれたことは、少なからぬ痛手だったが、共用の既設の質量分析計により、MoとRuの質量分析の経験を深めた。その結果、質量数100に近い所に未知のイオン(多分、K_2F^+とK_2Na^+)が高温で出現すること、一方、K^+_2、K^+_3、K^+_4、K^+_5の生成も明らかとなった。〔これらの知見は、今後の研究で注意すべき問題を明らかにした点で、有意義な新知見である。〕 (4)核物理学で極めて注目されている二重ベータ壊変の目標核種としてMoー100とZrー96が非常に適しているとの結論を得ているが、地球化学的研究手法に必要な古い鉱石試料として、輝水鉛鉱とジルコン(20億年以上)のサンプルを入手することに成功した。同時に、Moから超微量のRuを、Zrから超微量のMoを分離する方法を検討し、前者にはRuO_4の蒸留法が、後者には、イオン交換法が有利であることを確かめ、検出限界をさらに下げ、分離可能な濃度比をさらに上げる実験を続けている。 (5)フランスと米国(Oak Ridge)に特注して、Tcー97を作ってもらう準備とその受け入れ態勢を整えている。このTcー97を使い、この核種の半限期再測定に挑戦する計画である。〔測定例は一個しかない。〕
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