研究概要 |
昨年度の研究からILー6レセプタ-(ILー6R)を介するシグナル伝達は,ILー6Rに会合する分子,gp130を介して細胞内へ伝えられることを明らかにしたが,今年度はこの分子をコ-ドするcDNAをクロ-ニングし,その全構造を決定した。この分子とILー6Rが会合することにより,高親和性の結合部位が形成されることも証明された。 ILー6遺伝子の発現を誘導する転写因子,NFーILー6をクロ-ニングし,これがC/EBPと高度のホモロジ-を有することを明らかにしたが,C/EBPが肝でアルブミンの発現にかかわるのに比し,NFーILー6は種々の急性期蛋白のプロモ-タ-領域に結合し,炎症時に急性期蛋白の発現に関与することが明らかとなった。更にNFーILー6はマクロファ-ジで産生される種々の炎症性サイトカインやりゾチ-ムの遺伝子の発現にもかかわり,マクロファ-ジの分化,活性化にかかわる転写因子である可能性が示された。 ILー6遺伝子を用いたトランスジェミニックマウスをB6マウスで作製すると良性のplasmacytosisしか発症しないが,これをBalb/cマウスと交配するとモノクロ-ナルなplasmacytomaが発生することが観察され,plasmacytomaの発症にはILー6とBalb/cの何らかの遺伝的な背景が必要であることが明らかとなった。 I型糖尿病を自然発生するNODマウスのIsletへ浸潤したTリンパ球を分離し、これより自己β細胞に反応するTリンパ球クロ-ンを確立することに成功した。多数のクロ-ンを確立し、それらよりTCRのVβVαをクロ-ニングし,自己免疫に関与するTリンパ球は必ずしも3のレパトリ-がlimitedではなく,種々のVβ,Vαが使われていることを明らかにした。
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