研究課題/領域番号 |
01065005
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研究種目 |
特別推進研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岸本 忠三 大阪大学, 医学部, 教授 (10093402)
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研究分担者 |
田賀 哲也 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助手 (40192629)
審良 静男 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助手 (50192919)
菊谷 仁 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助教授 (80161412)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1992
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キーワード | 自己免疫 / 急性期反応 / ミエローマ / サイトカイン / インターロイキン6 / 信号伝達 / レセプター / 転写因子 |
研究概要 |
1989年から4年間「特別推進」により支援された我々の研究によって生命科学にインパクトを与えるいくつかの成果が得られた。その1つは、サイトカイン共通信号伝達分子gp130の発見である。この発見は新しいレセプターシステムの概念を提唱すると共に、サイトカインの特徴である“機能の重複性"を分子のレベルで説明しうることにつながった。 CRPをはじめとする急性期蛋白は医学・医療の分野で診断に重要な役割を果たしていると共に急性期蛋白の遺伝子発現は分子生物学領域の格好のターゲットであった。我々の発見して転写因子NF-IL6とその関連遺伝子の機能解析により、炎症時における急性期反応と逆急性期反応という生命現象を分子レベルで説明することができるようになった。 サイトカインは炎症や腫瘍等において重要な役割を果たしていることは多く報告されている。しかしながらサイトカインはその機能の多様性という性格上病気とサイトカインの1対1の関連が証明されている例は殆どなく、IL-6とミエローマはその関連が実験的なレベルと臨床レベルの双方においてはっきり証明された唯一の例と言っても過言ではないと思われる。これから始まるヒト型化した抗IL-6抗体や抗IL-6レセプター抗体のミエローマ患者治療への応用が成功すればサイトカインの理論に基づいた病気の治療の最初の例となることが期待される。 IL-6自身の血小板増加因子としての臨床応用は、癌の化学療法や骨髄移植の治療に新しい武器を与えることが期待されるし、このような臨床実験を通してIL-6のヒト造血系幹細胞への作用が更に明らかになってくるであろう。
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